
原作:橘オレコ(小学館「マンガワン」「裏サンデー」2023〜2026年)
巻数:単行本 既刊12巻/本編は第79話で完結
受賞:電子コミック大賞2024 大賞/全国書店員が選んだおすすめコミック2024 第1位
アニメ:2026年10月9日より 全国フジテレビ系“ノイタミナ”
『ホタルの嫁入り』は、明治を舞台に、余命わずかと告げられた伯爵令嬢と、その令嬢の殺害を請け負った殺し屋が「結婚」から始める物語です。2026年10月9日からは、フジテレビ系“ノイタミナ”でテレビアニメも始まります。
本編は全79話で完結しているが、2026年8月現在の最新12巻には最終話まで乗っていません。そこでこの記事では、まずその状況を整理してから、作品そのものの話と、単行本の揃え方までをまとめます。
本編は完結、単行本は12巻まで──いまどこまで読める?
連載が始まったのは2023年1月1日。小学館のマンガアプリ「マンガワン」と、WEBサイト「裏サンデー」で、隔週月曜の更新が3年続きました。
単行本は12巻(2026年6月19日発売)まで発売されており、収録されているのは全79話のうち、第70話から第75話です。
第76話から最終話までの4話が収録される予定の13巻の発売日は、いまのところ公式から告知されていません。
待たずに読む道もあります。マンガワンで配信された各話は電子書籍の単話としても売られていて、最終話まで揃っています。単行本の続きを読むなら第76話からです(Amazon Kindle 単話76/楽天Kobo 単話76)。第76話から順に4話ぶん買えば、単行本の続きから最終話まで途切れずにつながります。
なお、本編の完結後もマンガワンでの掲載は続いています。番外編に加えて、外伝『-人斬りと幼童-』が2026年5月から始まり、9月にも新しい話が予定されています。
『ホタルの嫁入り』はどんな話?
時は明治。伯爵家の令嬢・桐ヶ谷紗都子は、生まれつき体が弱く、長くは生きられないと医者に言われています。それでも彼女の夢は、名家に嫁いで桐ヶ谷の家を守ること。そのために教養も作法も、努力で身につけてきました。
ある日、紗都子は何者かに攫われ、牢屋に閉じ込められます。そこで向き合うことになったのが、彼女の殺害を請け負った殺し屋・後藤進平でした。逃げ場のない場面で紗都子が口にしたのが、「私たち、結婚しましょう!」という提案です。
この求婚について、作者の橘オレコさんは小学館のインタビューで、プロットを考えているときに勢いで入れたセリフだったと明かしています。担当編集者に褒められて、そのまま第1話の軸になったのだそうです。
舞台に明治が選ばれたことにも理由があります。殺し屋とお姫様が同じ画面にいて違和感のない時代を探した結果で、和と洋が混ざった時代のほうが描いていて楽しそうだ、という感覚も語られています。
ジャンルの軸は恋愛ですが、それだけの作品ではありません。刀を使ったアクションがあり、「そもそも誰が紗都子を攫ったのか」というサスペンスが並走します。アニメの亀井隆広監督は、公式サイトに寄せたコメントで、この作品を「繊細さと狂気、心の機微や激しいバトル。そしてサスペンス」と表現しています。
1巻は発売から1週間で緊急重版がかかりました。2024年には、読者投票で決まる「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2024」で大賞を、全国の書店員が選ぶ「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」で第1位を獲得しています。累計発行部数は400万部を突破しました。
主要キャラクター
桐ヶ谷紗都子(CV:Lynn)
伯爵家の令嬢。母を亡くしており、いまは父と義母、腹違いの妹との4人家族です。体は弱く、余命は長くないと言われていますが、家を守るという役割から逃げようとはしません。
橘さんは紗都子を、意志が強く自分を持った人物として描いたうえで、その強さには少しだけ脆さも混ざっている、と説明しています。恵まれた令嬢に見えて、その気品も教養も、強くならざるをえなかった環境の産物だという前提が置かれています。
演じるLynnさんは、公式サイトのコメントで「命を、成し遂げたい夢を、自分の想いを諦めない紗都子の姿に心惹かれました」と話しています。
後藤進平(CV:内山昂輝)
天女島で生まれ、殺しを生業とする青年。三枝から紗都子の殺害を依頼された側の人間です。好意を持った相手には一途で、その分だけ嫉妬心も強く出ます。
この進平、企画の当初はまったく違う人物になるはずでした。橘さんによれば、最初は真面目で普通の男の子を想定していて、しかもそのイメージは作中の康太郎に近かったそうです。それでは物足りず、ひと癖もふた癖もあるキャラクターへ舵を切った結果が、いまの進平です。
「愛が重い」と評される言動にも、描き手の側からの説明があります。進平は試し行動をくり返して相手の気持ちを確かめようとする人物で、愛情を知らずに育った子どものようなイメージで描かれている、というものです。ここを押さえておくと、彼の物騒な言葉が脅しではなく確認に見えてきます。
小川康太郎(CV:伊東健人)
紗都子の幼馴染で、桐ヶ谷家の用心棒。紗都子の夢を、そばで応援してきた人物です。
康太郎は、生まれも育ちも性格も進平と真逆になるよう意識して描かれています。紗都子を思う気持ちの強さだけが二人の共通点で、その示し方がまるで違う、という設計です。
三枝(CV:津田健次郎)
何者かから紗都子の誘拐を依頼されたヤクザ。金のためなら手段を選びませんが、人情にあつい一面ものぞきます。進平に紗都子の殺害を命じたのも、この男です。演じる津田健次郎さんも「一筋縄ではいかない人物」と評しています。
ここが読ませる!おすすめポイント4選
1. 助けを乞うのではなく、取引を持ちかける
牢に閉じ込められ、目の前に自分を殺しに来た男がいる。この状況で紗都子が選んだのは、命乞いではなく契約でした。私と結婚すれば全てが手に入る、と相手にとっての利益を提示して交渉しています。
ヒロインが最初の一手で主導権を取りにいく作品です。以降も、紗都子は守られるだけの位置には落ち着きません。自分の描く女の子はだいたい気が強い、と橘さん本人が認めているとおりの造形です。
2. 少女マンガの絵で、刀を振る
この作品には、はっきりと戦闘があります。しかもそれは後付けではなく、企画の出発点に近いところにありました。橘さんはコミックナタリーのインタビューで「どうしてもバトルシーンを入れてみたくて。そこから少しずつ企画も広がっていきました」と語っています。
アクションを描くのは本作が初めてで、参考書を読んだり、自分で鏡の前でポーズをとったりしながら描いたそうです。いちばん印象に残っている話として挙げているのも、舟の上で戦いが繰り広げられる第17話でした。
結果として、恋愛描写を目当てに読んでも、戦闘の見応えで読んでも成立する作品になっています。作者もアニメ化に寄せたコメントで、制作を担当するdavid productionを「アクションが魅力的なdavidさん」と呼んでいます。
3. 「愛が重い」が、属性で終わらない
「愛が重い」という評判だけを先に聞くと、身構える方もいると思います。ただ、この作品は進平の重さを、こわさにも笑いにも切なさにも転がしていくので、読んでいて息が詰まりません。気持ち悪さの部分も削らずに描かれていて、そこを含めて受け入れている読者が多いのも、この作品の空気をよく表しています。
読者から、進平は「ピクミンに似ている」という感想が届いたこともあるそうです。こわいのに笑えて、笑ったあとで少し切ない。この振れ幅が、進平という人物の持ち味になっています。
4. 恋愛の下に、事件が流れ続けている
紗都子は、なぜ攫われたのか。誰が仕組んだのか。この問いは第1話で提示されます。二人の関係を追いかけながら、その裏側を考える読み方もできる作品です。
恋愛だけを追ってもいいし、犯人を考えながら読んでもいい。入口が二つある作りが、この作品が男女どちらの読者にも届いた理由のひとつだと思います。橘さん自身、少年マンガも少女マンガも読んで育っていて、その両方の好きな部分が混ざったのだろうと振り返っています。
全12巻をどう揃えるか
物語がどこへ行き着くかはすでに描かれているので、途中で更新が止まる作品ではありません。ただ、いまは単行本が12巻までという状態なので、揃え方は読む人の立場で変わります。
これから読み始めるなら、電子のまとめ買いがいちばん手数が少なく済みます。Amazonのシリーズページは3冊・5冊・10冊・12冊すべてと段階が選べるので、まず3冊だけ買って、合わなければそこで止めるという読み方もできます。紙で棚に並べたい場合は、楽天に新品の全巻セットが出ています。

お試しなら1巻、腰を据えて読むなら全12巻。まとめ買いは3冊・5冊・10冊からも選べます。
2026年10月9日、ノイタミナでアニメが始まります
アニメーション制作はdavid production、監督は亀井隆広さん。シリーズ構成・脚本は『薬屋のひとりごと』『うる星やつら』の柿原優子さんが務めます。
キャラクターデザインの愛敬由紀子さんは、橘さんの絵の持ち味を「繊細さと大胆さ」、そして心情によって変わる表現の豊かさだと語っています。原作でいちばん振れ幅の大きい部分が、そのままアニメの狙いどころに置かれている形です。
エンディング・テーマはTOOBOEさんの書き下ろし「夢心地」。TOOBOEさんはこの曲を、紗都子ではなく進平のために書いたと明かしています。「1人でも生きていけるけど、1人では得られないモノが『夢心地』です」というコメントは、進平という人物の輪郭をそのままなぞっています。
| 放送開始 | 2026年10月9日(金)23:30〜 |
|---|---|
| 放送局 | 全国フジテレビ系“ノイタミナ” |
| 原作 | 橘オレコ(小学館「マンガワンコミックス」刊) |
| 監督 | 亀井隆広 |
| シリーズ構成・脚本 | 柿原優子 |
| キャラクターデザイン | 愛敬由紀子 |
| 音楽 | NOGRID |
| アニメーション制作 | david production |
| エンディング・テーマ | TOOBOE「夢心地」 |
| キャスト | 桐ヶ谷紗都子:Lynn/後藤進平:内山昂輝/小川康太郎:伊東健人/三枝:津田健次郎 |
オープニング・テーマと配信サービスは、この記事の時点ではまだ発表されていません。放送開始が近づいて配信先が判明したら、この記事にも書き足します。
よくある疑問に答えます
Q. 無料で読めますか?
マンガワンで第1話「望まぬ恩返し」と第2話「契り」が無料で公開されています(2026年8月時点)。紗都子が結婚を持ちかけるところから始まる序盤の2話なので、この二人の距離感が肌に合うかどうかを確かめるには足ります。第3話から先は、アプリの仕組みか、単行本・電子書籍で読む形になります。
Q. アニメを観る前に、原作を読んでおくべきですか?
どちらでも構いません。ただ、原作は本編が完結していて、いま12巻ぶんが手元で動かせる状態です。10月まで待つ理由が特にないなら、先に読み始めてしまうほうが自然だと思います。
逆に、この作品に映像から触れたい方は、10月9日を待って構いません。
Q. 前作『プロミス・シンデレラ』を読んでいないと分かりませんか?
時代も設定も別々の作品なので、順番はどちらからでも構いません。『プロミス・シンデレラ』はバツイチのアラサー女性と男子高校生の年の差ラブで、2021年に二階堂ふみさん主演でテレビドラマにもなった全16巻の作品です(Amazon Kindle/楽天Kobo)。作風はかなり違いますが、芯の強いヒロインという一点は共通しています。
こんな人におすすめ!
- 重い執着や歪んだ愛情を、こわさごと描く恋愛マンガが読みたい方
- 恋愛だけでなく、刀を振るアクションやサスペンスも一緒に味わいたい方
- 受け身ではなく、自分で状況を動かしにいくヒロインが好きな方
- 和装と洋装が同居する、明治という時代の画が好きな方
- 刊行を待つのが苦手で、最終話まで今日のうちに読んでしまいたい方
まとめ
『ホタルの嫁入り』は、命の期限を抱えた令嬢と、人を殺めて生きてきた青年が、契約という形で結ばれるところから始まります。片方は家のために、片方は生き延びるために手を取ったはずが、いつのまにかその手を離せなくなっている。恋愛の重さを、こわさや痛みごと引き受けて描いた作品です。
本編はすでに最終話まで描き切られています。単行本は12巻まで刊行済みで、第76話から先の4話は単話で読める状態です。読者と書店員の両方から1位に選ばれた作品を、結末まで見届けられるところに、いまはもう手が届きます。
放送は10月9日から。原作を先に読み切っておくか、映像から入るか。どちらを選ぶにしても、12巻ぶんの物語は今日から動かせます。
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アニメは10月からですが、原作は今日から読めます。第1話の求婚から、二人がどこへ行き着くのかまで。入口は1巻です。

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