『 黒の召喚士』をおすすめしたい!

イントロダクション

「俺は……平和に暮らしたいだけなのにさぁ、マジで(笑顔)」

見覚えのない草原の上で目覚めた青年は、自分の名前などの記憶を失っていました

ここがどこなのかわからず途方に暮れていると、目の前に『ゲームのメニュー画面』のような半透明の板が表示されます。

『異世界はようこそ!』

そこに書かれた文字に思考停止していると、謎の声が響きます。

『あなた様は前世の記憶と引き換えに、高ランクの召喚スキルを手に入れました』

「何してるの転生前の俺!?」

『ここは剣が鍔競り合い、魔法が飛び交うファンタジー世界です。今のあなた様の詳しい状態については、ステータス画面をご覧ください』

「ケルヴィン……? 俺の名前?」

ステータス画面に表示された内容から、自分が23歳の男性で、職業:召喚士であることを把握するケルヴィン。

他にもゲームのように表示されるレベル、スキル、筋力などの数値を食い入るように見つめます。先程までの不信感が嘘のように、ケルヴィンはワクワクしていました

いくつかのスキルについて確認したケルヴィンは、近くの街にある冒険者ギルドに『行きましょう』と薦められます。

「……先程から普通に会話していますが、メニュー音声さんも来るのですか?

『フフ、記憶がないのでしたね。こちらをご覧ください』

そう言ってメニュー音声が表示したステータスには、『名前:メルフィーナ、性別:女、1276歳』という文字が浮かんでいました。

『初めてですよ、神である私に配下になれとおっしゃられた方は。責任、取ってくださいね

「何してるの転生前の俺えええぇぇぇぇぇ!?」

こうしてケルヴィンの異世界冒険は始まりました。その世界の女神をガイド役兼配下に従えて

黒のローブに身を包み、魔物もドン引きする戦闘狂な主人公が突き進む、爽快バトルストーリー『黒の召喚士 ~戦闘狂の成り上がり~』をおすすめしようと記事にしました。

『迷井豆腐(以下敬略称)』による小説作品。イラストは『 黒銀 (DIGS)、ダイエクスト(7巻以降)』

ジャンルは『異世界ファンタジー、バトル』

2014年10月に小説投稿サイト『小説家になろう』で連載が開始されました。旧題は『古今東西召喚士』。web版は2018年12月に完結、現在はアフターストーリーが連載中です。

2016年6月から『 オーバーラップ(オーバーラップ文庫)』より書籍版が刊行開始されました。

小説は『オーバーラップ文庫』 にて、既刊18巻まで発売中です。

シリーズ累計発行部数は2022年2月時点で140万部を突破しています。

メディアミックスとして、漫画、アニメ化が行われました。

漫画版は『コミックガルド』にて、作画『天羽銀』により連載中です。

コミックスは既刊14巻まで発売しています。

アニメ化は『マクロスF』や『シンフォギアシリーズ』を手掛けた『株式会社サテライト』でアニメ化が行われて、2022年7月から放送開始されました。監督は『カレイドスター』『WORKING!!』『ヲタクに恋は難しい』で監督を務めた『平池芳正』

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本作の魅力について、

監督:『平池芳正』は、『私のイメージする異世界転生ものって、特定の趣向や属性に振り切った作品が多い印象があったんです。でもこの作品は、驚くほどシンプルで、男の子が純粋に楽しめるドラマだと感じました。人以外のものに転生する作品も多いなか、制作する側としても分かりやすく、好感が持てました』

ケルヴィン役の:『内山昂輝』は、『物語の導入が独特。『前世でできなかったことを果たしたい』『前世をやり直したい』といった動機が主人公を突き動かすのではなく、ケルヴィンは『前世の記憶と引き換えに、強力なスキルを獲得したい』と望んでいます。本当に1からのスタートを自ら望んでいるのが個性的で、冒険を進めていく展開はRPGを楽しむプレイヤーの心境に近いものがあると感じました』

とコメントしています。

あらすじ(序盤のネタバレあり)

声だけの女神メルフィーナと、冒険者ギルドがある街『パーズ』に辿り着いたケルヴィンは、さっそく冒険者登録を行います。

『緑魔導士:ケルヴィン 冒険者ランク:F級』

それがケルヴィンの身分です。召喚士は一国に1人いるかいないかの激レア職業だとメルフィーナから聞かされたケルヴィンは、貴族のつまらない権力争いに巻き込まれたくないので職業を偽りました。

強力なスキルで順調に冒険者ランクを上げていくケルヴィンは、周囲から注目されていきます

そのせいで『新人潰し』と呼ばれる冒険者に眼をつけられますが、『修練の成果を試すにはいい機会だ』と好戦的に応じます。

『あなた様、発想が戦闘狂のそれです』

「うるせいやいッ」

それから新人潰しや自分よりレベルが高い敵と戦い、仲間を増やしながら、自由に冒険するケルヴィンでしたが、

『君、ひょっとして……異世界人なのかな?』

くせ者なギルドマスターに正体がバレてしまい、『どこの陣営にも取り込まれない自由』の代わりに、様々な依頼を引き受けることになります。

さらに『魔王』復活が近いことや、自分以外にも転生者がいることを聞かされたケルヴィンは、強敵との戦いにワクワクするのでした。

作風・感想

本作は生粋のバトルジャンキーである主人公が、強敵とバトルするためにあらゆる手を尽くしていく戦闘重視の異世界ファンタジー作品です。

舞台はエルフやドワーフ、スライムやドラゴンなどの魔物が登場するファンタジー世界で、ランク、職業、魔法、ステータスといったRPG要素もあります。また主人公以外にも、敵味方に異世界人が複数登場するのも特徴です。

ストーリーはバトル続きですが、ギャグ要素も多く、癖の強いキャラクター『筋肉マッチョの女装オジサン』『ヤバい意味で女神に熱烈な信者』もたくさん登場します。

主人公が事件に巻き込まれたり、周囲の状況から仕方なしに動くのではなく、強敵と戦うために渦中に飛び込むのが面白いです。

また複数のヒロインが登場する俗にいうハーレムモノではありますが、バトル要素が濃いので、恋愛描写はサラッとしています(ただやることはやってます)。

必要以上にグロい描写や人間同士の悪意渦まく心理戦といった陰鬱な展開は少なく、力と力のぶつかり合いで決する清々しさが強いです。

敵も味方も強い

強力なスキルを持つ主人公だけでなく、その味方や敵も強いため、お互いに全力で戦うのが魅力の1つです。主人公1人いれば良いという状況は少なく、仲間も引き立て役やサポート役に徹さず、しっかり主人公と並べる強さを持っています

そんな主人公パーティと真っ向からぶつかれる強さを持った敵との戦いが多く、最初から全力なら勝てるのに手加減して戦ったり、本当の力を隠すといったもどかしさがないです。

また主人公だけが特別ではなく、同じように特別なスキルを授かった異世界人も登場するため、バトルが白熱していきます。

強敵との戦いがじっくり描写されるのに対して、弱い敵との戦いは新技のお披露目やギャグ要素として扱われるため、物語の面白さに繋がっています。

主人公たちが強くなる度に、戦う敵も強大になっていき、話の規模もどんどん大きくなっていくため飽きが来ません。

伏線は最初から

主人公『ケルヴィン』は強力なスキルと引き換えに記憶を失いました。どうしてその選択を自ら選らんだのか? は序盤から続く謎です。

また仲間たちも出自や過去に伏線が張られており、ストーリーにしっかり絡んでいくので、その場にいるだけの空気にはなりません

世界を脅かす魔王の存在も序盤から匂わせがあり、強敵との戦闘を期待させます。

また異世界人が複数人いるのも何者かの意図を感じさせる伏線として扱われるため、不穏な気配が漂っています。

登場人物

ケルヴィン

男。23歳。召喚士。

人当たりの良い好青年で自由を好んでいますが、重度のバトルジャンキーで、強敵と出会う度に喜んでいます(漫画版だと極悪な笑みを浮かべています)。この点は味方どころか敵からも指摘されており、敵対者にドン引かれることも多いです

強い敵と戦うためなら知恵を巡らせますが、出世には興味がありません。これは目立ちたくないのではなく、下手に地位を得ると、国や組織に束縛されて自由に戦えなくなるからです

戦闘中の駆け引きや味方への指示出しは的確な一方で、日常だと熟練の知恵者に言いくるめられるなど、勝負事以外では遅れを取ります。

敵対者には容赦はなく、命の取り合いに躊躇がありません。死の恐怖より戦う楽しさが上回っているような描写が多く、保険があるとはいえ手足の欠損や身体に穴が開いても、笑顔のまま戦闘を続行します。ただ最低限の善悪は弁えており、戦場から逃げ遅れた者を守るなど、優しさもあります。

恋愛面に関しては、美人に眼がないですが、やや奥手です。ただ2人きりで状況が許すなら躊躇がないタイプです。

日本人らしく風呂と米を好んでいます。

まとめ

敵味方入り乱れたワクワクのバトル描写が多く、その間にある日常も個性的な変人たち(一部ヒロイン含む)が大暴れします。

気になった方は是非一読してみてください。

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