『Fate/strange Fake』をおすすめしたい!

概要

『それは偽りだらけの聖杯戦争』

成田良悟と奈須きのこがタッグを組み、森井しづきが彩る、Fateシリーズ公式スピンオフ小説『Fate/strange Fake(フェイト ストレンジフェイク)』をおすすめしようと記事にしました。

原作小説は電撃文庫より刊行中。コミカライズ版(漫画)は角川コミックス・エースより展開中。そして2022年大晦日にTVスペシャルとして初アニメ化され、2026年1月3日からはついにTVアニメシリーズとして本放送がスタートしました。

舞台は日本ではなくアメリカ西部の架空都市・スノーフィールド。"偽り"の聖杯戦争という前代未聞の設定のもと、魔術師とサーヴァントが入り乱れて繰り広げる死闘と狂騒の物語です。


Fate/strange Fake(1) (電撃文庫)

エイプリルフールから公式へ──誕生の経緯

本作の出発点は、2008年4月1日に成田良悟が自身のホームページに掲載したエイプリルフールのネタ小説でした。タイトルは『Fake/states night』。「架空のゲームメーカー"悪悟屋"による商品紹介サイト」という体裁で公開された、Fateシリーズの二次創作です。

ところが、この一日限りのジョーク企画があまりに完成度が高かったため大きな話題になり、翌2009年にはTYPE-MOON専門特集雑誌『TYPE-MOONエース』Vol.2の別冊付録として加筆収録されることになりました。この段階で晴れてFateシリーズの公式スピンオフに昇格します。

さらに2015年1月、電撃文庫から小説版1巻が刊行。同時に森井しづきによるコミカライズ版もTYPE-MOON BOOKSから発売され、本格的なメディアミックス展開がスタートしました。

ポイント:奈須きのこ(TYPE-MOON代表・Fate原作者)は小説版全巻のあとがきを成田良悟と連名で執筆しており、作品への深い関与が伺えます。成田氏が小説版2巻のあとがきで「奈須きのこから"Fakeは完全にパラレルだから好きにしていい"と言質を取った」と明かしており、成田ならではの自由な発想が随所に活かされている作品です。

型月作品を知らない人へ──Fateシリーズって何?

「型月(かたつき)」とは、ゲームブランドTYPE-MOONの愛称です。代表作『Fate/stay night』(2004年)は、あらゆる願いを叶える万能の願望機「聖杯」を巡って魔術師と英霊が戦う伝奇活劇ビジュアルノベルゲームで、その独特な世界観とシナリオの深さで熱狂的なファンを生み出しました。

以降、TYPE-MOONは『Fate/Zero』『Fate/Apocrypha』『Fate/Grand Order(FGO)』など多数の派生作品を展開。現在も有名なコンテンツブランドとして知られています。

その中で『strange Fake』は、Fateシリーズをまったく知らない人でも、物語の根幹となる「聖杯戦争」「マスター」「サーヴァント」という三つの概念さえ押さえておけば、楽しめるように設計されています

ただし成田良悟は『小説で読まれる事しか考えていなかった複雑でスロースタート、しかも関連作品を知っている人が読む事を前提に書かれた群像劇』とも語っており、予備知識がなくても面白いが、知っていれば数十倍面白いです。

また序盤は世界観や各陣営の説明が多く(小説第1巻は全部プロローグといっても過言ではない)、『Fateシリーズなのだから最終的に面白くなるに決まっている』という信頼がなければ、手が離れてしまうかもしれません。

これだけ知れば大丈夫!重要用語集

以下の用語を頭に入れておくと、初見でもスムーズに世界観へ入り込めます。

聖杯戦争せいはいせんそう

あらゆる願いを叶える万能の杯「聖杯」の所有権をかけて、数人の魔術師が英霊を召喚し戦い合う儀式。最後の一人(あるいは一組)になるまで戦い続け、生き残った者が聖杯を手にする。本作はこの「聖杯戦争」が正規の手順を踏まず「偽り」として発動してしまったことから物語が始まる。

マスター

聖杯戦争に参加する魔術師のこと。サーヴァントを召喚・契約し、共に戦う。令呪(れいじゅ)と呼ばれる三画の命令権を手に宿し、絶対命令としてサーヴァントを動かすことができる。

サーヴァント

人類史に名を刻んだ英雄や偉人の霊魂を呼び起こして現界させた存在。マスターと契約を結び、聖杯戦争を戦う。セイバー・アーチャー・ランサー・ライダー・キャスター・アサシン・バーサーカーという七つの「クラス(職階)」に分けられて召喚される。本作では「偽り」の聖杯戦争ゆえに正規クラス以外の英霊も召喚されてしまっており、それがストーリーを大きく混乱させます。

令呪れいじゅ

マスターの手に宿る三画の紋章。一画を消費するごとにサーヴァントへ絶対的な命令を下すことができる強力な権能。

令呪をすべて使用し、失ってしまった時点でマスターは「聖杯戦争」への参加権を失うことになる。

宝具ほうぐ

サーヴァントが生前に用いた武器・道具・技・逸話などが神秘として昇華されたもの。各英霊が持つ最大の切り札であり、その内容はほぼ英霊の正体(真名)と直結している。そのため宝具を使うことは自らの真名を晒すリスクもある。

真名まな

サーヴァントの正体となる英霊の本当の名前。真名が判明すると、その英霊の弱点や能力が露わになるため、戦いの中でサーヴァントは自身の真名を隠しながら戦うことが多い。ファンにとっては「このサーヴァントの正体は誰なのか?」を推理する楽しみでもある。

時計塔とけいとう

多くの魔術師たちを統括する『魔術協会』の心臓部であり、まだ若き魔術師たちを育てるための最高学府。本部はロンドン。

strange Fakeがシリーズの中でどういう作品か

Fateシリーズには多くのスピンオフが存在しますが、strange Fakeは他の作品と比べていくつか大きな特徴があります。

①舞台がアメリカ──シリーズ初のアメリカでの聖杯戦争

本作はアメリカ西部の架空都市スノーフィールドが舞台です。広大な土地と多様な文化・民族が入り乱れる環境が、物語に独特のスケール感をもたらしています。先住民族の少女がマスターになる、マフィアや地元警察が介入してくるなど、「アメリカならでは」の展開が随所に登場します。

②「偽り」の聖杯戦争というコンセプト

本作の聖杯戦争は、本来必要な条件が揃っていない状態で無理やり起動させられた「偽物」です。そのため召喚されたサーヴァントにも"規格外"や"偽者"が紛れ込んでいます。この設定が「strange(奇妙な)Fake(偽物)」というタイトルの由来であり、物語の核心でもあります。

③成田良悟の群像劇スタイルが炸裂

著者の成田良悟は『バッカーノ!』『デュラララ!!』で知られる群像劇の名手。本作もマスターとサーヴァントの各組に加え、警察・FBI・魔術師協会・先住民族・一般市民といった多くの視点が交錯する群像劇として描かれています。一見バラバラに見えた各キャラクターの話が複雑に絡み合っていく構成は、まさに成田作品の真骨頂です。




メディアミックスの歩み

2008年4月1日 プロト版『Fake/states night』公開

成田良悟の個人HP上でエイプリルフール企画として一日限りの公開。「架空のゲームメーカーによる商品紹介サイト」という体裁の二次創作だったが、その完成度から大きな話題を呼ぶ。

2009年1月 TYPE-MOONエース別冊付録に収録、公式スピンオフへ昇格

加筆修正のうえTYPE-MOONエース Vol.2の別冊付録として掲載。森井しづきによるイラストとキャラクターデザインがここで初公開される。

2015年1月 電撃文庫・コミックス版同時刊行スタート

小説版第1巻(電撃文庫)とコミカライズ版第1巻(TYPE-MOON BOOKS)が同日発売。主人公・アヤカ・サジョウの名前がここで初めて付けられる。

2022年12月31日 TVスペシャル『Fate/strange Fake -Whispers of Dawn-』放送

A-1 Picturesが制作するアニメが大晦日のTVスペシャルとして初放送。放送直前にTVシリーズ化も電撃発表され、ファンを驚かせた。

2023年7月2日 TVスペシャルの劇場上映会開催、TVシリーズ制作発表

LAをはじめ国内外でイベントが開催され、さらなる盛り上がりを見せた。澤野弘之によるイメージソングも話題に。

2026年1月3日 TVアニメシリーズ本放送開始

TOKYO MX・BS11にて放送開始。ABEMA・dアニメ・U-NEXTなど各種配信サービスでも同時配信スタート。劇伴は澤野弘之が担当、OPテーマはSawanoHiroyuki[nZk]:Jean-Ken Johnny & TAKUMAが担当。

スタッフ情報

原作・小説

原作小説成田良悟(電撃文庫)
原作(監修)奈須きのこ / TYPE-MOON
イラスト・漫画版作画森井しづき
刊行レーベル(小説)電撃文庫(KADOKAWA)
刊行レーベル(漫画)角川コミックス・エース(新装版)

TVアニメ

アニメ制作A-1 Pictures
監督榎戸 駿・坂詰嵩仁(共同監督体制)
劇伴音楽澤野弘之
OPテーマ「PROVANT」SawanoHiroyuki[nZk]:Jean-Ken Johnny & TAKUMA
放送局TOKYO MX・BS11ほか
配信ABEMA / dアニメストア / U-NEXT / アニメ放題 ほか
放送開始2026年1月3日

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既存の型月ファンへ──ここが熱い!

ギルガメッシュとエルキドゥのバトルがアニメ化

本作で初めて本格登場し、後にFGOにも逆輸入されたエルキドゥとFateシリーズ屈指の人気を誇る英雄王ギルガメッシュのバトルが本作を象徴するシーンの1つです。。

「ロック」する謎のセイバーの登場

主人公アヤカ・サジョウが半壊したオペラハウスで出会うセイバーは、まともな魔術師でも何でもないアヤカを「マスター」として選んだ謎の英霊。その真名は原作ファンを驚かせました。

キービジュアルが「逮捕シーン」

記念すべきTVスペシャルのファーストビジュアルが「セイバーが警察に逮捕されているシーン」だったことは語り草になっています。原作未読者は何が起きているか分からず困惑し、原作既読者は「キービジュそれでいいの!?」と笑いながら歓喜しました。

まとめ

エイプリルフールの冗談から生まれ、18年かけてTVアニメシリーズへと成長した『Fate/strange Fake』。その歩みそのものが「偽りから真実へ」というテーマを体現しているように感じます。

型月作品を知らない人には、成田良悟の群像劇のおもしろさと「聖杯戦争」という独特の設定を、分かりやすいアニメの映像で楽しめる絶好の入り口です。型月ファンには、ギルガメッシュとエルキドゥというコンビや、常識外れの参加者たちが織り成す混沌の聖杯戦争を存分に楽しめます。

どちらにとっても「損なし」と断言できる作品です。ぜひ手に取って楽しんでください。


Fate/strange Fake (1) (TYPE-MOON BOOKS)