
漫画:業務用餅(講談社「月マガ基地」連載/キャラクター原案:kisui)
原作小説:六志麻あさ(Kラノベブックス)
巻数:漫画は既刊22巻(連載中)
アニメ:2026年10月6日からテレ東系で放送中
ギルドを追い出された強化付与魔術師が、512人ぶんの装備にかけてきた強化をまとめて引き上げ、手元の安物の銅の剣に「+10000」を付与する。ここまでは、追放ものらしい始まりです(?)。ところがこの主人公、強化した服の防御力を確かめたくて、金をせびってきたチンピラに「腹パンされたいから!」と自分から殴られに行きます。
『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』(略称『チー付与』)は、2026年10月6日からテレ東系でアニメが放送中です。原作は、業務用餅さんが講談社の「月マガ基地」で連載している漫画。もとになったWeb小説の作者・六志麻あささん自身が「99割程度違う」と書くほど、小説とは別の物語になっています。キャラクターと見どころ、小説版との違いを、ネタバレを避けて紹介します。
『チー付与』はどんな作品?
ジャンルは異世界ファンタジー×ギャグ。冒険者ギルドとドラゴンのいる世界で、仲間の装備を強くする裏方だった青年が、自分の手で剣を振るう冒険者になる物語です。シリーズ累計は150万部を突破しています。
主人公のレイン・ガーランドは、五大ギルドのひとつ「王獣の牙」で、仲間たちの武器や防具を強化してきた強化付与魔術師です。ギルドの剣も盾も鎧も、レインの強化がかかったもの。ただ、強化を専門にしてきたレイン自身は、一度も戦ったことがありません。ある日、ギルドマスターのバリオスに呼び出されたレインは、給料が上がる話かと期待して部屋に入り、「お前クビだ」と告げられます。強力な武器と防具がそろった今、強化しかできず戦えもしないレインは用済み、というのが理由でした。
ギルドを放り出されたレインは、王獣の牙の512人の装備に付与してきた「強化ポイント」を、すべて解除して手元に戻します。強化ポイントは、武器や防具に込めて性能を高める特殊な魔力で、付与したあとでもレインの意思で解除できます。戻ってきた総量は+13033。レインはそのうち+10000を手持ちの安物の銅の剣に、残りの+3033を着ていた布の服に付与しました。ずっとのんびり暮らしたいと思ってきたけれど、冒険者も一度はやってみたかった。それならどこかのギルドで冒険者として稼いで、あとは自由に暮らそう――と決めます。
新しいギルドを探すうちに、レインは金をせびってきたチンピラにからまれ、強化した服を試そうと腹パンを頼みます。殴ったチンピラは拳を痛めて逃げ帰り、止めようと割って入っていた受付嬢のニーナに誘われて、レインは小さな冒険者ギルド「青の水晶」に入ります。ところが、さっきのチンピラが仲間を連れて仕返しに来ます。その前で銅の剣を軽く振っただけで、道も建物も吹き飛んでしまいました。修繕にかかった金貨1000枚を払ったのは、入ったばかりの青の水晶です。その借りを返すため、レインは2週間誰も引き受けていなかったドラゴン討伐の依頼を受け、S級冒険者のリリィと出発します。
アニメの原作は漫画版。小説とは「99割」違う別の物語
『チー付与』のもとは、六志麻あささんが2021年に「小説家になろう」で連載を始めたWeb小説です。講談社のKラノベブックスから小説も出ていますが、アニメの原作としてクレジットされているのは漫画のほうです。小説と漫画の違いについての、六志麻さん自身の注意書きがこちら。
「※小説版と漫画版で内容が99割程度違うので、ご注意ください。」
違うといっても、出発点は同じです。小説1巻の第1章でも、レインは512人ぶんの強化を解除して+13033を取り戻し、銅の剣に+10000を付与します。同じ数字から始まり、その先が分かれていきます。
たとえばリリィ。小説では、ギルド「星帝の盾」に所属する聖騎士で、レインの噂を聞いて訪ねてきます。漫画とアニメでは、レインと同じ「青の水晶」に所属するS級冒険者で、2年前のクエストの失敗から剣を振るえなくなっています。
小説1巻のあとがきで、六志麻さんはコミカライズを「小説版とは一味違ったもう一つの『チート付与魔術師』」と呼び、業務用餅さんを「独特のギャグやテンポよく魅力的なお話を描いてくださっている」人として紹介しています。アニメ化に寄せた業務用餅さんのコメントの結びは、「この連載を寛恕いただいている六志麻あさ先生・kisui先生に感謝申し上げます」。
アニメと同じ話を読みたい人、アニメの先を知りたい人は漫画を。同じ出発点から枝分かれした、もうひとつの話を読みたい人は小説を選んでください。

📕 漫画(アニメと同じ話)
1巻に第1話〜第3話を収録。追放からリリィとのドラゴン討伐まで、アニメの序盤と同じ流れで読めます。

📖 小説(同じ出発点からの別の物語)
イラストはkisuiさん。既刊2巻で、1巻にはWeb版にない書き下ろしが2編入っています。
主要キャラクター紹介
レイン・ガーランド(CV:山下大輝)
「王獣の牙」を追放され、「青の水晶」の冒険者になった強化付与魔術師。どんな状況でも目の前の人を助けようとするお人好しですが、シリアスな場面でもボケや奇行を繰り返す変人で、仲間からはいつも呆れられています。
MANTANWEBのインタビューで、レインを演じているときのことを聞かれた山下大輝さんの答えは「何も考えてないです(笑)」。「レインは純粋な子なので、喜びも120%ですし、初めてのことに120%感動します」と続きます。アニメのレインが出す声は、叫びも奇声もすべて山下さんの口から出たもので、本間修監督の話では効果音は一切使っていません。
リリィ・フラムベル(CV:Lynn)
「青の水晶」に所属するS級冒険者。史上最年少でS級に認定された有名な冒険者ですが、2年前のクエストの失敗で仲間を死なせたことが心の傷になり、剣を振るえなくなっています。経験豊富でパーティーをまとめるしっかり者なのに、私服がダサい。
初対面のレインには、強化した服の防御力を確かめるために背後から剣で斬りつけています(「不安ならナイフで刺して試してくれ」と言ったのはレインのほうですが)。Lynnさんはオーディションで漫画を読んだとき、「なんだこの力の抜けたような作画は!なんだこの主人公は!そして周りどうした!?」と頭の中でツッコミながら読み進めたと、アニメ公式サイトのコメントに書いています。
マーガレット・エルス(CV:青山吉能)/どんぐり(CV:山崎たくみ)
マーガレットは、ギルド「皇帝の盾」に所属するB級冒険者。冒険者だった姉は、リリィと一緒に訪れた光竜の遺跡のクエストで命を落としました。皮肉屋で、自分の気持ちに素直になれない性格です。
青山吉能さんは、マーガレットの強さを「大切な人を失った強い喪失感や後悔、そんな絶望によって培われた実力。」と書き、その覚悟を声で表そうと全力で努めたと続けたあと、最後を「ってどんぐりが言ってました!ね、どんぐり!」で締めています。どんぐりは、マーガレットが飼っている犬で、マーガレットのことが好き。
ニーナ(CV:小原好美)/エルシー・ゾラ(CV:潘めぐみ)
ニーナは「青の水晶」の受付嬢。チンピラにからまれていたレインのもとに割って入ったのが出会いで、行き場のないレインを青の水晶に誘います。エルシーは青の水晶のギルドマスター。元は名の知れた冒険者で、今は挫折した冒険者のサポートに徹しています。小さなギルドに新しい登録者が来たと聞くと、ニーナと抱き合って喜ぶような人です。
ニーナ役の小原好美さんいわく、「本作では全員が全力で楽しんで本気でふざけて演じています」。エルシー役の潘めぐみさんは、長いタイトルを丸ごと書いたうえで「いいですか、皆さん。ついてきてくださいね?」と呼びかけています。
ミラベル(CV:富田美憂)/暗殺の母(CV:柴田理恵)
ミラベルは、暗殺の母に育てられた、若くして一流の暗殺者。暗殺の母は、代々暗殺稼業を営む有名な暗殺者で、ミラベルの育ての親です。
暗殺の母を演じるのは、俳優の柴田理恵さん。公式コメントは、台本を読んでも原作の漫画を読んでも「さっぱりわかりませんでした」という告白から始まります。読み進めて分かったのは、自分の役が「毒親」らしいということでした。それでも、柴田さんがMANTANWEBのインタビューで語った暗殺の母は、「家を守るために一生懸命やっていて、自分の私腹を肥やすわけでもなく、昭和の家のようなところにずっと住んでいる」人。どんな悪人でも好きなところを見つけないと演じられない、という柴田さんは、この母のことは割とすぐ好きになれました。
ここがすごい!『チー付与』のおすすめポイント4選
① 主人公が変人。アニメは「やりすぎ」をお願いして作っている
レインは、強化ポイントを付与するために着ていた服をその場で脱ぎ、強化した服を試したいからと自分から殴られに行きます。それを横で見ていたニーナの心の声は「この人は何を言ってるんだろう」。ドラゴンを倒したあとは、炎を浴びた服が燃え落ちて裸になり、リリィに「来ないで!!」と叫ばれます。アニメ第1話のサブタイトルからして、「何も上手くいかない時って誰だってあると思うんだけどそんな時俺はどうするかって?決まってるさただひたすらに叫びながら走るんだよおああああッ!」という長さです。
アニメの現場は、この調子を抑えずに伸ばす方向で作られています。第1話の前に山下さんが受けたオーダーは、ほかの現場だったら「ちょっとやりすぎなんで抑えてください」となるところも「やってほしい」。ミラベル役の富田美憂さんが受けた注文も「他の現場で、やりすぎてNGと言われるくらいのことをやってください」で、富田さんは「己のストッパーを壊しまくり」、収録に臨みました。グレンダ役の豊口めぐみさんの言葉を借りれば、「普通の現場ならオッケーなんですよ。でもここは違いました。」
スタッフには、キャラクターデザインとは別に「ギャグ・サブキャラクターデザイン」の担当として合田真さ美さんが立っています。その合田さんが挙げる見どころは、「声優さんのお芝居が乗ってレインがリアリティのあるうざさになっているところ」。リリィ役のLynnさんが先行上映会で明かした、完成したアニメの感想は「センスと技術力のある大人たちが本気で、真面目にふざけると、こんなに面白いんだな」。
② 強化ポイントの付け外しが、次の冒険を決める
レインの強化付与は、付けるのも外すのもレインの意思しだい。王獣の牙から引き上げた+13033を、どこに、いくつ振り分けるかで戦い方が決まります。+10000の銅の剣は、中級ドラゴンを一撃で真っ二つにするほどの威力でした。
ただ、その一撃で剣のほうが砕けてしまいます。もとは安い銅の剣だから、攻撃の衝撃に耐えきれなかった――リリィの説明は「強化で攻撃力が上がっても耐久力まで上がるわけじゃないでしょう?」。強化の数字だけでは押し切れないと分かって、レインは自分の強化に耐えられる武器を探し始めます。数字の大きさで全部片づくのではなく、能力の弱点が次の目標を連れてくる。チートものとして、ここがよくできています。
③ ふざけた顔の隣で、仲間の過去はちゃんと重い
剣を振るえなくなったS級のリリィ。姉をクエストで亡くしたマーガレット。暗殺の母に育てられたミラベル。3人とも、何かを失ったり、何かに縛られたりしています。その重さが、ギャグの直後に顔を出します。
笑いから重さへの切り替えは、リリィを演じるLynnさんにとっても簡単ではありませんでした。「流れに関係なく急にブチギレたり、ツッコんだり、コミカルな表現も多く、シリアスだけで通そうとすると、無理なところが出てきてしまいます」。そこは「チー付与」だからと割り切った、というのがLynnさんの出した答えです。暗殺の母についても、「とんでもない言動もありますが」と認めたうえで、「泣いてしまうようなシーンもあります」と話しています。
普段アニメをあまり観ない柴田さんも、最初は「ギルド」や「付与」でつまずき、読み進めるうちに引き込まれていきました。柴田さんいわく、リリィのような悲しみを抱えた人は、自分たちが子どもの頃のアニメにはあまり出てこなかった。「今の社会を反映していると感じてくると、どんどん面白くなるんです」。
④ タイトル後半の「残った人たち大丈夫?」にも物語がある
長いタイトルの最後は「残った人たち大丈夫?」。この作品は、追い出したほうの「王獣の牙」も描きます。ギルドマスターのバリオス(CV:楠大典)、冷淡でもギルドメンバーからの信頼は厚い副ギルドマスターのグレンダ(CV:豊口めぐみ)、目的のためには手段を選ばない冒険者のコーネリアス(CV:古川慎)、本名不詳の冒険者・半分(CV:岡本信彦)。
レインが強化を引き上げたあと、王獣の牙では装備を鑑定させると強化ポイントがすべて0になっていて、クエストの失敗も出始めます。コーネリアス役の古川慎さんは、自分の役を「残った人たちのほう」と紹介しています。半分役の岡本信彦さんは、作品の声の芝居が「とんでもない勢いに仕上がっております」と書いたうえで、「その中でも半分はシリアスな芝居で挑んでます」と続けています。
漫画1巻の最後で、レインの次の目標が決まります。「強化に耐えうる伝説の剣」です。銅の剣では足りなかった、その先の冒険は2巻から。既刊22巻ぶんが、まとめ買いでそろいます。
アニメ『チー付与』の放送・配信情報
公式サイトに寄せたスタッフのコメントによると、アニメ化は、本間修監督が2023年の年始に「チー付与のアニメ化をさせて下さい!」と講談社に相談したところから動き出しました。シリーズ構成の米内山陽子さんの言葉では、「この最強におもしろい原作を、最高におもしろいアニメにするために、P.A.WORKSさんとパーティを組みました」。
| 放送 | テレ東系6局ネットほか 10月6日(火)より毎週火曜深夜24:00〜/AT-X 10月8日(木)より毎週木曜23:30〜(リピート放送あり) |
| 配信 | ABEMAで10月6日(火)深夜24:30から見放題最速配信/10月9日(金)深夜24:30からHulu・U-NEXT・Prime Videoほかで順次配信 |
| 原作 | 講談社「月マガ基地」連載(小説:六志麻あさ/漫画:業務用餅/キャラクター原案:kisui) |
| 監督 | 本間修 |
| シリーズ構成 | 米内山陽子 |
| キャラクターデザイン | 清澤唯人/ギャグ・サブキャラクターデザイン:合田真さ美 |
| 音楽 | 桶狭間ありさ |
| 音響監督 | 納谷僚介 |
| アニメーション制作 | P.A.WORKS |
| オープニングテーマ | sumika「エンバートーチ」 |
| キャスト | レイン・ガーランド:山下大輝/リリィ・フラムベル:Lynn/マーガレット・エルス:青山吉能/ミラベル:富田美憂/エルシー・ゾラ:潘めぐみ/ニーナ:小原好美/どんぐり:山崎たくみ/バリオス:楠大典/コーネリアス:古川慎/グレンダ:豊口めぐみ/半分:岡本信彦/暗殺の母:柴田理恵 |
観るときに気をつけたいのが、エンディングのあと。本間監督は先行上映会で、配信で観ているとCパートが切られがちだが、何回かCパートが入っていて「そこにはすごい重要なシーンが含まれています」と念を押しています。エンディングが終わっても、すぐに再生を止めないでください。
ABEMAでは、テレ東系の放送から30分後の火曜深夜24時30分に、毎週いちばん早く配信されています。10月9日(金)深夜24時30分からは、HuluやU-NEXTでも配信が始まりました。Huluは定額制で、対象作品は1話ごとの追加課金なしで視聴できます。U-NEXTは、初めての方なら31日間無料トライアルの対象です。
※本ページの配信情報は2026年10月時点のものです。ABEMAで無料で観られる範囲とABEMAプレミアムの対象を含め、最新の配信状況は各公式サイトでご確認ください。
よくある疑問に答えます
アニメは漫画の何巻から始まりますか?
漫画1巻の第1話からです。アニメ第1話は、追放から青の水晶への加入を経て、リリィとドラゴン討伐へ向かうところまで。漫画では、1巻の第1話から第2話の前半にあたります(Amazon Kindle/楽天Kobo)。
漫画は完結していますか?
いいえ、連載中です。単行本は2026年10月8日に22巻が出たところで、連載も続いています。
小説版も読んだほうがいいですか?
アニメの続きを知りたいなら、読むべきは漫画です。小説を手に取る理由になるのは、漫画にない話が読めること。小説1巻はWeb版の1章から8章までを加筆修正したもので、Web版では読めない書き下ろしが2編入っています。ひとつはレインたちが海水浴に行く「水着回」、もうひとつはリリィが主人公の外伝です(Amazon Kindle/楽天Kobo)。
こんな人におすすめ!
- ボケ倒す主人公と、真顔でツッコむ仲間たちのギャグで笑いたい人――冒険もバトルも、ボケとツッコミの合間に進みます
- 追放ものを読み慣れていて、ひと味違うものを探している人――追い出した側の「王獣の牙」の様子も描かれます
- 笑いの合間に、重い過去を抱えた人物のドラマが挟まる作品が好きな人――リリィ、マーガレット、ミラベルにはそれぞれ背負っているものがあります
- 『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収』のように、追放された主人公が“貸していた力”を取り返す話が好きな人――こちらは取り返した強化ポイントの使い道で、話が転がっていきます
まとめ
追放された付与魔術師が、512人ぶんの強化を取り返し、安物の銅の剣に+10000。そこまでは定番どおりでも、その先で主人公は服を脱ぎ、腹パンを志願し、ドラゴンを倒して裸になります。笑っているうちに、剣を振るえなくなったS級冒険者や、姉を亡くした皮肉屋の物語が始まっている。その振れ幅が『チー付与』です。
原作者が「99割」違うと書いた漫画版は、既刊22巻。アニメの先の話も、そこで読めます。アニメで笑ったら、次は漫画1巻から。
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アニメの原作は、この漫画です。漫画は業務用餅さん。既刊22巻で、連載中です。1巻は追放の日から始まります。


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