『パリピ孔明』をおすすめしたい!
イントロダクション
『なるほど、ここが地獄なのですね(誤解)』五条原の戦いで命を落とした名軍師・諸葛亮孔明が眼を覚ますと、現代日本の渋谷に転生していました。渋谷のパリピたちに導かれるまま、ダンスミュージックが鳴り響くクラブに辿り着いた孔明は、シンガーを夢見る女性の歌に惹かれて、彼女の夢を叶え、太平の世を作ろうと動き出します。そんな『パリピ孔明』について記事にしました。
原作『四葉夕ト(敬略称)』、作画『小川亮』による漫画作品です。
ジャンルは音楽と転生。
『週刊ヤングマガジン』にて連載中(2022年4月現在)。
題名の『パリピ』は『パーティー・ピープル(英語でパーティが好きな人々)』を日本語で略した言葉です。
『講談社・ヤングマガジンコミックス』にて既刊9巻まで発売中(2022年4月現在)。
2022年1月時点で累計発行部数55万部を突破しており、『次にくるマンガ大賞2020』にて特別賞に相当する『U-NEXT賞』を受賞しました。
第1巻の発売時にはTVCM、第2巻発売時にはボイス付き記念PVと第1話のデジタルボイスコミックが公開されました。
『Angel Beats!』や『花咲くいろは』を手掛けた『株式会社P.A.WORKS』により『諸葛孔明、新たな戦場は渋谷!!』というキャッチコピーでアニメ化が行われて、2022年4月より放送が開始されました。
主人公の1人である『シンガー・月見英子』はダブルキャストで、演技は声優『本渡楓』が、歌唱パートは歌い手『96猫』が歌います。
『本渡楓』は本作を『夢を追う中で“誰かの力を借りることの大切さ”に気づけて、パリピからエネルギーを貰える作品』と語っており、『96猫』は『自分はこれでいいんだ、これが自分なんだ、と自分らしさと向き合える部分が共感できる』と語っています。
アニメの中に登場する渋谷の街は、漫画で出た場所が再現されており、今では見れなくなった風景もあります。
あらすじ(序盤のネタバレあり)
数々の仲間を失い、多くの敵を倒してきた名軍師・諸葛亮孔明(以後孔明)は、五条原の戦いで命を落とします。今際の際に、命のやり取りなどない平和な世界に生まれ変わりたいと思った孔明が目覚めると、肉体が若返った状態で現代日本の渋谷に立っていました。
街中はハロウィン真っ最中で仮装した若者が騒いでおり、冷静に周囲の状況を分析した孔明は、ここが地獄だと判断しました。地獄の極卒(仮装した若者)に捕まり、地獄の刑で喉を焼かれて(度数の高いアルコールを飲まされる)、次なる獄刑として体の芯まで爆音が響く場所(ミュージックダンスが鳴り響くクラブ)に連れて来られた孔明は、そのステージ上で歌う地獄の歌姫(鬼のコスプレをした女性)を目撃します。
歌っていた女性・月見英子(以後英子)が『誰も自分の歌を聞いていなかった』と落ち込んでいたところに、孔明が現れて『素晴らしい歌声だった』と褒めたことが縁になり、若者に酔い潰されて極寒の路上で倒れていた孔明を、英子は自室まで連れて行きました。
英子との会話で、自分で脈を測って生きていることを確信した孔明は、スマホや加湿器に凄まじい衝撃を受けながらも、現代知識を英子から教授してもらいました(4時間でスマホを使い、自分のことをウィキペディアで調べて、ブロックチェーン作成まで辿り着いた)。
孔明は自分が日本語を使えることや転生したことについても冷静に受け止めており、英子も孔明が本物だと信じていませんが、孔明が自分が亡くなった後の歴史を調べて気落ちしている姿を見て、歌を歌います。
相手を想う英子の歌にエネルギーと、在りし日の天下泰平の誓いと夢を感じた孔明は、まずは見分を広めて軍資金を手に入れるために、英子に働き口の紹介を頼みました(ドヤ顔で無職アピール)。
英子と同じクラブで働くことになった孔明は、その場で三度目となる英子の歌を聞いて、その歌に秘められた力を確信しました。孔明は、英子の軍師(マネージャー)となり、シンガーになるという夢を叶えることを誓います。
様々な妨害や苦難を、次々と策を打ち出して解決していく孔明と、孔明の助けがあるとはいえ着実に自分の想いと力でシンガーとして成長していく英子の物語が始まります。
作風
『パリピ孔明』というタイトルに惑わされますが、内容は至って真面目で、英子が夢を叶えるために努力を重ねて成長する青春物語と、孔明が数多の策で降りかかる難題を解決していく智謀知略が見所です。
諸葛亮孔明が主人公ということで、三国志についても大きく触れていますが、事前知識がない方でもわかりやすく丁寧に描かれています。
また音楽についても深く掘り下げていますが、孔明が一から学んでいくので、こちらも安心して読み進めることができます。
登場人物たちは、誰もが人間味に溢れており、どんな形であれ成り上がろうとする意志や夢を持っています。中には小細工を弄したり、自分の力を信じ切れなかったり、思った形とは違う形で夢へ近づくことになったり、そんな登場人物たちが織りなすストーリーが、感情移入しやすく魅力的です。
絵柄はスッキリとしており、華々しいクラブや機材などの小道具も一部品まで細かく描かれています。また英子は年頃の女性らしく可愛くも夢を追う情熱に満ちた姿で、歴戦の軍師である孔明は策を講じる時に凄みがある表情で描かれています。
登場人物
諸葛亮孔明
本作の主人公であり、三国志に登場する諸葛亮孔明その人。
一目で孔明だとわかる服装をしていますが、英子を含めた登場人物からはコスプレだと思われています。基本的に服装は変わりませんが、服を洗濯している時は、綸巾(特徴的な帽子)をかぶったままでジャージ姿を披露しました(洗濯が終わるまで、団扇で仰ぎながら雑誌を読んでいた)。
転生したことや若返っていることについては、今は考える時ではないからか軽く流しており、英子の夢を叶えるために軍師(プロデューサー)として活動しています。
英子が働くクラブ『BBラウンジ』で『バーテン』として働くフリーターであり、マニュアルを一目見ただけでカクテルの調合や会計まで完璧にこなして、英子を驚かせました。本人いわく茶を点てるよりは簡単だそうです。
現世へ馴染む速度は凄まじいの一言で、英子のプロデューサーとして活動するためとはいえ、誰の手も借りずに他のクラブへ通い、顔馴染みを作って情報を収集しました。
スマホやパソコンなどの現代機器も難なく扱っており、今後の活動について会議を行う際に、パワーポイントで資料を作っています。
現代の若者言葉も把握しているようで、難しい言葉で英子に伝わらなかった時は、『激アツ』など英子にも伝わるように言い直していました。
前世で得た知識や策を、現代風に難なくアレンジして披露しており、加えて過去の失策や人間として未熟だった部分も反省して活かしているので、過去に囚われず現在に順応した姿を見せてくれます。
月見英子
本作のもう一人の主人公であり、歌手・『EIKO』としてシンガーソングライターを目指す女性です。
家庭事情が複雑らしく、高校時代に訪れた渋谷で『もう無理』、と線路に飛び込もうとした所を『BBラウンジ』のオーナーに助けられた過去があります。それから『BBラウンジ』でゲスト出演していたアメリカの歌姫『マリア・ディーゼル』の歌を聞かされて、凍り付いていた心が奮い立ち、自らも歌手として誰かを感動させるという夢を抱きました。
孔明に出会った時点では、多くのオーディションに参加するも合格できない状態が続き、夢を半ば諦めかけていましたが、孔明の後押しによりもう一度夢に向かって走り出します。
時間があればボイストレーニングを行う努力家であり、また見ず知らずの他人である孔明の世話を焼くなど、思いやりのある優しい女性です。
明るく陽気な性格ですが、自己評価が低く、不安や緊張を吐露することもあります。しかし最後には奮い立って、夢へ向かう勇気を持っています。
頭がちょっと残念であり、脊髄反射を豚骨反射と言うなど、よく孔明や他の登場人物から訂正されています。
英子の歌には他人を想いやる心が込められており、孔明や数多くの登場人物たちの心を震わせました。孔明が目指す天下泰平の世には、英子の歌が必要不可欠と言われるほどです。
まとめ
名前のインパクトが強烈ですが、手に取って読んでみると、夢を追う情熱に満ちた作品でした。
気になった方は、是非一読してみてください。
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