『ドリームジャーニー(ウマ娘)』ストーリーネタバレ・下

の続き。

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愛情

家族想いなウマ娘で、『父も、母も、妹も……皆、私の誇り。いつでも幸せで、快適であるように……それが私の願い』と言うほど、大切にしています。『ゴールドシップやナカヤマフェスタ』のような身内と認めた相手も同様で、『不快な気分になる』ことすら避けるほどです。

『楽しそうな皆を、眺めていられる景色が私の全て。これ以上ない祝福』と感じており、身内や大切な人に囲まれている時が、一番リラックスします

休日は家族と過ごし、SNSで我が家の素晴らしさを広める(緊急メンテナンスが発生すると、家族愛を発散できずに苛立つ)。家族に勝負服の写真を送るために、プロのカメラマンに撮影してもらう。家族を連れていく温泉旅館の下見など、愛情の深さが窺えます

両親の仕事がうまくいくように動いたり、オルフェーブルの学園生活が充実するように、あらゆる手段を尽くします。さらに、その動きを決して悟らせません(恐らく、負い目を感じさせないため)。

トレーナーからは『本当に秘密の時は、塵さえ出さない』と言われており、両親の仕事がうまくいった時は『2人の仕事が素晴らしいから』と褒めたたえ、オルフェーブルに指摘された時はのらりくらりとかわします。

他人の力を借りる時も、『まず自分が助けて、その見返りとして助けてもらう(相手が言い出さない限りは、見返りを求めない)』『相手は終始なにも知らないが、ドリームジャーニーの助けになっている』パターンがほとんどです。

そうなるように『余計なことは言わない』が、他人の力を勝手に借りた時は、何かしらの形で必ず返します。ブエナビスタのおかげで母親の仕事の交渉がうまくいった時は、母親のイラストを送る形で感謝しました。ただ相手からすると、自分は何もしていないのにプレゼントを貰ったり、良くしてくれる形です。『ドリームジャーニーは優しい』と評判なのは、そういう理由も含まれています。

ケジメ

家族や身内への愛情が深く、あらゆる労力を惜しみません。それゆえに、悪意をもって近づいてくる輩に、一切の容赦がないです

家族や身内の害になる存在は『コバエ』、悪意は『悪臭』と言い切り、害になると感じたら『仕事/掃除』を開始します。恐ろしいのが、諭したり反省を促すのではなく、報復すること

オルフェーブルの態度が気に入らないウマ娘¹に対しては、その自信の源である強さを、レースに勝利する形でへし折りました。

¹……オルフェーブルは大した実力もないのに、偉そうにしている。その責任をドリームジャーニーにとらせたいとつっかかってきた。

この時、同じことが起きないように、しっかり圧をかけて警告します。トレーナーの善意を利用したスリに対しても、二度と近寄らないように、大の男が怯えるほどの迫力で圧倒しました

いずれも当事者がいない場で解決しており、トレーナーの財布がすられた時は、『落ちていた』と誤魔化しています。目の前で解決しないのは、家族や身内の気持ちが大事で、コバエの駆除は二の次だからです。例えばスリの一件では、トレーナーの善意が悪意に裏切られたことを隠しています。

ゴールドシップとナカヤマフェスタがくじ屋に騙されていた時も、上記2つと比べて優しい対応で、その理由を『指摘だけするのは野暮。最後は笑って帰ってほしいと、思っただけ』と答えました。

ドリームジャーニーの行動は一貫しており、大切な人たちが悪意のある場に近づかないように、目を光らせています。

オルフェーブルの記事のコメント欄も小まめにチェック中です。

トレーナーとの関係

鉄の契約

とあるウマ娘の走りに影響を受けて、『忘れられないウマ娘を育てたい』。そんな夢を持つトレーナーだったが、スカウトがうまくいきません。

とくに最近は、声をかけた子にドタキャンされることが続きます。いい反応のあった子でも、なぜか当日になるといなくなってしまう。トレーナーに原因があるのか、その理由すらわからないため、ただ自信だけがすり減っていきます。

そんな時に出会った小柄なウマ娘が、ドリームジャーニーです。『担当トレーナーがいないから、あなたの意見が欲しい』。その言葉は温かく響きました

時間はいくらでもあります。どんな走りをするのか興味もあったトレーナーは、二つ返事で快諾しました。

ドリームジャーニーの走りには安定感があり、高い素質を感じます。なんでトレーナーがいないのか、疑問に思うほどです。

『期待をかけてくれる方が、いらっしゃらない。ご覧の通り、私は他の方よりも小柄なものですから』

少し胸が痛くなる言葉でした。ドリームジャーニーの才能を思えば、このままじりじりしているのはもったいない。

チャンスだと思ったトレーナーは、ドリームジャーニーをスカウトしました。

それから数日ほど経ったが、全てが順調です。ドリームジャーニーは能力が高く、優等生で、礼儀正しい。問題なんて起きる余地がありません

以前トレーニングを見る約束をしていたウマ娘から、『やっぱり今はジャーニーさんを見てるんですね?』と言われるまでは。

そのウマ娘が言うには、『ドリームジャーニーは、有名なトレーナーにトレーニングを見てもらう約束があった。それを代わってもらい、トレーナーには自分から話しておく』と言われたそうです。

『黙っていたのは、そのほうがよいと思ったから。彼女は、貴方ではないトレーナーを選んだわけですから。真実を知れば、傷つけてしまうと思った。かえって、混乱させてしまったようで……すみません』

それは優しい嘘だったのかもしれない。しかし、心にわだかまるものが残ります

貴方に、全てをお見せしています。多少配慮をして言わないこともありますが……普通のことでしょう?』

『昔会ったことを隠したのも?』

それは、胸が高鳴る走りと、纏わりつくような彼女の香りが思いださせたこと。

トレーナーが影響を受けたウマ娘が、最後に勝利してから、長い長い時間が経とうとしていたある日の重賞レース。雲が重く、重く垂れこめていました。それでもそのウマ娘のファンは、雨の土曜日のレース場に詰めかけ、彼女の勝利を祈っています。

そこで、とても小柄なウマ娘が、観戦場所を探していました。トレーナーが場所を譲った流れで、そのまま2人で話していると、同じウマ娘の応援に来たことがわかります。

その日の彼女は、重いバ場をものともせず、G1に匹敵するファンの声援に応えました。ひとしきり喜んだあと、ふと隣を見ると、少女の姿はなかった。とても印象的な、重厚な香りだけを残して

『覚えていないようでしたので、これも配慮したまで』

『やっぱり覚えてたんだ』

『……おや、カマをかけられたのですか? らしくない……貴方は素直で、単純で、お優しいから……価値があるのに

見知らぬ少女に場所を譲る情け深さ。他人に明け透けに見の上を話す素直さ。ドリームジャーニーが求めるトレーナー像に、これ以上ないほど、望ましい人だった。

ドリームジャーニーはただ、扱いやすいからトレーナーを選んだ。同時に、なぜ新人トレーナーを選んだのか、腑に落ちます。

ショックを受けるトレーナーに、以前渡した契約書が返されます。

『こちら、お返ししておきましょうか。こんなことになるかもしれない、と思い、提出せずにいたのです。どうぞ、お好きに扱ってください。契約すると仰ったのは、貴方、ですから……最後もお任せします』

短い夢だったと思いましょう。全てを忘れて、お互いの旅に、戻るのです。そう言って、ドリームジャーニーは立ち去りました。

底の見えない暗さを感じたが、ドリームジャーニーは騙したわけではない。その能力と、人柄も含めて契約を結んだのはトレーナーです。自分勝手な理由で反故にはできない。

既にトレーナーは、ドリームジャーニーの走りに夢を見てしまった。強烈な走りが、頭から離れない。彼女の纏う、あの香水のように。恐らく、彼女と出会った時に、すでに結末は決まっていた

『君の旅の果てを、見届けたい』

書き直した担当契約書を渡されたドリームジャーニーは、驚かずに微笑みます。

『貴方を信じていたので。改めまして、これからどうぞ、末永くよろしくお願いいたします。トレーナーさん』

トレーナー自身が望んだ、決して破棄できない鉄の契約が結ばれます。

狂信

契約が成立してから、何一つ問題ない、順調すぎるほど順調な日々が続きます。

ドリームジャーニーの手の平で踊らされている、その結果なのかもしれない。そんな考えがトレーナーの脳裏をよぎります。

『契約したのは扱いやすいから』。そんな理由に納得はできません。ドリームジャーニーにとっての価値を、本当の意味で必要とされるような価値を、改めて作りたい。そう強く思いました。

そのために多くを学び、経験し、人並み以上に頑張ります。そんなトレーナーを、ドリームジャーニーは気遣います。

『どうか、己を卑下する言い回しはなさらないで。貴方は、素晴らしいトレーナーですよ。私は、貴方の努力に報いたいと考えています』

こちらを気遣う言葉と声色。本当なら、言葉のままに受け入れたいが、その気遣いの真意を考えてしまう。ドリームジャーニーの言葉に嘘はない。ただ言葉以上の何かが、その裏には潜んでいるだけで。

その真意をはかるのは難しいが、目的だけははっきりしています。ウマ娘の長い競争生活という旅、『その果てを、見たい』という夢。そこだけは、常に一貫して真摯です。

そして、ドリームジャーニーの走りに夢を見たのも不変の事実。

今の関係も、きっと悪くないのだと都合よく考えておきます。いつか、本当に信頼し合える関係になれるまでは。

トレーナーは旅の同伴者として、ドリームジャーニーと、彼女が進む道の先を見つめ続けます。旅の果てを共に見るのだと、すでに誓っていました

はかり知れない所も含めて、ドリームジャーニーというウマ娘の強さ。抱いていた恐れは、強い信頼に変わっていきます。ドリームジャーニーがトレーナーをどう思っているかは重要ではありません。トレーナーが有用かどうかで、彼女からの答えは、積み重ねてきた結果と信頼の後にあればそれでいい

たとえ信頼を得れなくても、ドリームジャーニーの夢が叶うのならば、それがトレーナーとしての在り方です。

その瞳の色は、もはや狂信。どこまでもついていく。迷いなどない。

シニア級のクリスマス頃には、恐れとともに思い出すこともあった香りが、当たり前に寄り添っています。

『……目を瞑って。手を、差し出してください』

ドリームジャーニーから言われれば、その通りに目を閉じます。手を前に差し出し、体の力を抜く。彼女に全てを預ける意思表示です。従属ではなく信頼として。

ひやりと冷たいものが、手首に振れます。そのままプシュという音がして、いつもの香りを、近くに感じます。

『貴方にこれをプレゼントする日がくるとは……思いもしませんでした』

本来、トレーナーとドリームジャーニーを、結ぶものはありません。

ですが、今……同じものを、纏っています。

血のような、濃い香りを。

素晴らしき出会い

ドリームジャーニーから見て、トレーナーの性格は動物に例えるとペンギン²

²……人をペンギンに例える場合は、群れで生活する生き物のため、温厚で協調性があるとされます。また群れを守る勇敢さと、周囲のために行動する優しい性格と言われることが多いです。

オルフェーブルの評価『安い、容易い』は否定しないが、『素直で、優しくて、誠実で、努力家』で好ましい。素晴らしい出会いだったと、嘘偽りなく、心からそう思っています。

『貴方は貴方の正しさを、裏切れはしない。真っ直ぐで……実にわかりやすく、心強い』

トレーナーのことは深すぎるほど理解しており、ドリームジャーニーに対する警戒心はあるが、優しくあろうとする素直さ。もっとも警戒すべき相手の願いであっても、叶えたいと努力する誠実さ。その生まれ持った素質を、心から眩しく想っています。それは、決して悪意などで失われてはいけないものだとも。

『たとえ、どんな旅になろうとも、出会った頃のままでいてほしい

トレーナーが無理をするなら、整然と改めさせる静かな意思で労わり、コーヒーや玉露の差し入れで気遣います。誕生日プレゼントも、部屋と実家の両方に送っていました。

また『貴方に、全てをお見せしています』という言葉に偽りはないです。オルフェーブルにさえ隠す、『裏で根回しする』『嘘や隠しごとを使いこなす』『コバエを掃除する』姿を見せています。

トレーナーと契約を結んだ一件でも、立ち去った直後に現れたウマ娘から嘘がバレるなど、『痕跡は塵さえ残さない』ドリームジャーニーらしからぬ落ち度です。

基本的に、大切な想いは、できる時に伝えたいと思っています言葉にしないまま、機を逸しても後悔しか残らないから。

 

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に続く。