『サマータイムレンダ』をおすすめしたい!
イントロダクション
『オレは2年ぶりにこの故郷に帰って来た、小舟潮の葬儀に参列するために』海難事故で命を落とした幼馴染『小舟潮』の訃報を聞いて、東京から2年振りに故郷の日都ヶ島に帰ってきた『網代慎平』は、幼馴染で親友の『菱形窓』から『小舟潮』が亡くなった経緯に不可解な部分があることを告げられます。
『小舟潮』の妹である『小舟澪』からも、日都ヶ島に昔から伝わる『(自分と同じ姿形をした)影を見た者は命を失う』というドッペルゲンガーに似た話と同じように、海難事故が起きる3日前にもう1人の『小舟潮』を見た話を聞かされました。
さらに『小舟潮』が亡くなったことに関係がありそうだった島民一家が突如として失踪して……。
事件の真相を探るため、島の裏に蔓延る大きな影に足を踏み込んでいく『サマータイムレンダ』について記事にしました。
『田中靖規(敬略称)』による漫画作品。ジャンルは『サスペンス』『SF』『ホラー』『アクション』。
ウェブコミック配信サイトおよびスマートフォンアプリ『少年ジャンプ+』(集英社)にて、2017年10月23日から全139話が配信された完結済みの作品です。
コミックスは『集英社(ジャンプ・コミックス)』にて全13巻で刊行されています。
また2022年4月14日・15日にはスピンオフ作品『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』が『少年ジャンプ+』に掲載されて、同年7月4日にコミックスの発売が予定されています。
『古見さんは、コミュ症です。』や『文豪とアルケミスト 〜審判ノ歯車〜』を手掛けた『株式会社オー・エル・エム』の『TEAM KOJIMA』により2022年4月からアニメ版が放送開始されました。全25話・2クールで物語の最後まで描き切るようです。
- 『超!A&G+』にて『サマータイムレンダ Radio』が隔週火曜日(19:00から19:30)に配信されており、MCは小舟潮役の『永瀬アンナ』と小舟澪役の『白砂沙帆』が担当しています。
本作の魅力として、アニメ版の監督である『渡辺歩』は『離島サスペンスアクションハートフルラブストーリー。漫画の面白味の幕の内弁当。一気に読めてしまう疾走感』、漫画版の担当編集は『土着性や離島という閉鎖性や、地方というある種の異国感が面白い。話が進むごとにジャンル自体が変化していき、どうなるのか分からない未知数なところが気に入っている』とコメントしています
作品タイトルである『サマータイムレンダ = Summer time rendering』の意味は、ゲーム用語の『リアルタイムレンダリング』から取っています。
あらすじ(序盤のネタバレあり)
幼馴染だった『小舟潮』の訃報を聞き、2年振りに故郷の日都ヶ島へ帰ってきた『網代慎平』は、幼馴染で親友の『菱形窓』から『小舟潮』が亡くなった経緯に不可解な点があることを告げられます。
海で溺れた『小舟潮』の首には吉川線、誰かに首を絞められた跡があったのです。しかし、事故現場に怪しい人物はいなかったそうです。
『小舟潮』の妹である『小舟澪』からも、もう1人の『小舟潮』を見たという不気味な話を聞かされました。
日都ヶ島には古くから『(自分と同じ姿形をした)影を見た者は命を失う』という言い伝えがあり、もう1人の『小舟潮』を見た3日後に、『小舟潮』は海で溺れました。
さらに島民一家が突如失踪して、そのうちの一人が失踪する前に自分と同じ姿をした影を見たという話を『小舟澪』から聞いた『網代慎平』は、2人で失踪の真相を追います。
しかし、突如として現れたもう1人の『ミオ』に『小舟澪』が銃で撃たれて、『網代慎平』も頭を撃ち抜かれました。
次に『網代慎平』が目を覚ますと、そこは島に到着する前の船の中でした。
作風・感想
SFサスペンス
本作は隣人がいつの間にか別人に入れ替わっているかもしれない恐怖を、島に古くから伝わる民俗信仰として表現するホラー要素に始まり、『網代慎平』が体験するタイムリープや、人知を超えた『影』と戦うアクションバトルなど、様々なジャンルの要素が含まれています。
舞台は和歌山県、和歌山市、紀淡海峡に浮かぶ日都ヶ島という閉鎖空間で、土着神を信仰する和のホラー要素が加えられています。
タイトルである『サマータイムレンダ』には、作中の雰囲気が伝わるように『夏』と『時間』というキーワードが含まれており、『レンダ(リング)』はSFチックでデジタルなイメージが込められています。
キャラクターはリアルすぎず、アニメっぽくなりすぎないように意識しているらしく、特に一部のキャラクターは意図的に浮いたキャラにして、この世のものではない存在が登場する作品の象徴になっています。
特に2巻の表紙で描かれた2人の『小舟澪』は褐色ヒロインということもあって人目を引いたらしく、口コミが広がって重版がかかった理由ではないかと言われています。
絵柄は清潔感があり、血が出たり怪我もしますが、内臓が飛び出すようなグロい表現はなるべく避けているそうです。これは読者のハードルを下げたいのと、残酷描写を売りにするのを避けたかったからです。
連載の合間には、日記や紙切れ、ポスターのようなフレーバーテキストが用意されており、作中の空気感が楽しめるようになっています。これは『田中靖規』がホラーゲームをプレイした時に、アーカイブを手に入れて、その断片から全体図を想像するのが好きだったからです。
作中序盤は、実写化できるぐらいのリアリティを追求しており、より面白くするためにSF要素やアクション要素が増えていったそうです。
本作の大きな魅力であるバトルアクションは、『ドラゴンボール』や『AKIRA』の影響を受けているらしく、そのままアニメーションにできるような『空間がはっきりわかるマンガ』を意識しています。
物語の面白さは、2巻のラストで明かされる真相まで読まないと伝わらない形になっており、ループモノの宿命である序盤の退屈さで読者が飽きないように、キャラクターや背景など、絵的な部分で工夫が行われています。
登場人物
網代慎平
17歳。通称『俯瞰野郎』。
主人公のようでいて、実は視点キャラクター(作者いわく『ジョジョの奇妙な冒険』でいう『広瀬康一』ポジション)。
自分の状況を俯瞰して、第三者の立場として見る癖があります。
料理が得意で、東京では調理師専門学校に通いながらバイトをしていました。
10年前に両親を失い、母親の縁で小舟家に引き取られた過去があり、潮と澪は義理の兄妹にあたります(この辺りが東京に向かった理由に絡んでいます)。
小舟潮
17歳。フランス人の父親を持つハーフです。
海で溺れていた女の子を救助した際に命を落としましたが、不可解な点が多く残っています。
からっと明るい性格で、物事をハッキリ言う上に、手が出るのも早いです。
小舟澪
『小舟潮』の実妹です。潮と違って髪は黒色で、肌は日焼けで褐色になっています。
運動神経に優れており、高校では水泳部に所属しています。
姉が亡くなった直後でも、笑顔で努めて明るく振る舞っていますが、性格は姉と正反対で、自分の思いを秘めてしまう暗いタイプです。
まとめ
絵柄はキレイですが、ジメッとした恐怖が恐ろしさを感じさせる作品です。
ループものということで難しい部分もありますが、コミカルな会話や緊迫したバトルアクションなど、引き込まれる要素は多いです。
気になった方は、是非一読してみてください。
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