
原作:岩本ナオ(小学館「月刊フラワーズ」連載中)
巻数:既刊11巻(連載中・11巻は2026年6月10日発売)
アニメ:2026年10月3日(土)よりNHK Eテレで放送開始/Prime Videoで世界独占配信
長男の名は「眠くない」、末っ子の名は「ハラペコ」。マロニエ王国の女将軍バリバラの七人の息子には、その人の資質がそのまま呼び名になったような名前が付いています。彼らが胸に抱く大義もひとつだけ、「いつか、かっこよくお姫様を助けること!!」。
岩本ナオさんが月刊フラワーズで2016年から描き続けてきた『マロニエ王国の七人の騎士』が、連載10年の節目にはじめてアニメになります。放送は2026年10月3日(土)からNHK Eテレ、配信はPrime Videoの世界独占です。
この記事では、原作11巻の物語がどんな形をしているのか、七人がどんな面々なのか、そして「11巻もあるけれどどこから手を付ければいいのか」までをまとめました。
『マロニエ王国の七人の騎士』は、七人兄弟が一人ずつ主役になって一つの国を旅する連作です。舞台となる国も、そこで出会う相手も、章ごとにそっくり入れ替わります。長い前提を覚え直さなくても物語に入っていけるのは、この形のおかげです。
マロニエ王国の七人の騎士ってどんな作品?
ジャンルは、中世風の異世界を舞台にしたファンタジーロマンス。恋愛と冒険と群像劇が同じ分量で混ざっている作品です。魔王を倒しに行く話でも、世界の命運を背負って戦う話でもありません。旅先の国で人と出会い、その国の事情に巻き込まれ、誰かを好きになる。その積み重ねで進みます。
舞台は、八つの国からなる大陸の中央に位置するマロニエ王国。この国の騎士を束ねる女将軍バリバラには、「眠くない」「博愛」「暑がりや」「寒がりや」「獣使い」「剣自慢」「ハラペコ」という七人の息子がいます。物語は、その兄弟たちが周辺の七つの国へ大使としてひとりずつ旅立つところから動き出します。
原作は月刊フラワーズ(小学館)で2016年から連載中、単行本は2026年6月10日発売の11巻まで出ています。宝島社の「このマンガがすごい!2018」オンナ編では第1位。作者の岩本ナオさんは前年にも『金の国 水の国』でオンナ編1位を獲っており、同じ作家が別の作品で2年続けて1位を取るのは「このマンガがすごい!」史上初でした。『町でうわさの天狗の子』では第55回小学館漫画賞も受賞しています。
大きな事件で引っぱるより、その場の空気と人の息づかいで読ませるタイプの作品です。海外でも翻訳出版され、10年かけて読み継がれてきました。
七人が一人ずつ主役になる、章立ての物語
この作品を読むうえでいちばん役に立つのは、「七人兄弟がまとめて冒険する話ではない」と知っておくことです。兄弟はそれぞれ別の国へ向かい、一人ぶんの物語がひと区切りつくと、次の兄弟の章が始まります。11巻までに四人の章が描かれてきました。
| 章 | 主役 | 訪れる国 | 収録巻 |
|---|---|---|---|
| 第1章 | 長男・眠くない | 夜の長い国 | 1〜3巻 |
| 第2章 | 五男・獣使い | 生き物の国 | 3〜5巻 |
| 第3章 | 七男・ハラペコ | 食べ物が豊富な国 | 5〜9巻 |
| 第4章 | 次男・博愛 | 好色の国 | 9〜11巻 |
章の切り替わりは巻の途中で起きます。前の章が終わった同じ巻で次の章の幕が上がるので、巻の区切りと章の区切りはきれいには重なりません。それでも、「今は誰の話を読んでいるのか」が常にはっきりしているのがこの作品の強みです。
アニメで四男・寒がりやを演じる猪股慧士さんも、公式サイトで「国ごとに一人ひとりがメインになるお話なので、七人全員が主人公のように思っていただけると嬉しいです」と語っています。
主要キャラクター紹介
七人兄弟は、19歳の双子・18歳の双子・17歳の三つ子という内訳です。上と下がたった2歳しか違いません。
長男・眠くない(CV:高梨謙吾)
19歳。名前のとおり、ほとんど眠ることがありません。夜の起きている時間をまるごと読書に使ってきたので知識量が多く、弟たちが困ったときに頼る先はたいていこの人です。次男・博愛とは双子。七つの国をめぐる旅で最初に送り出されるのが彼で、向かう先は「夜の長い国」です。
次男・博愛(CV:谷川誠)
19歳。多くの人を愛し、多くの人に好かれる不思議な魅力の持ち主で、名前も「博愛」。演じる谷川誠さんは公式コメントで、博愛について「誰にでも分け隔てなく愛を届け、人の痛みや寂しさにも寄り添える、やさしく繊細な心を持った人物」だと説明しています。恋多きプレイボーイという第一印象の下に、そういう資質が置かれている人物です。
三男・暑がりや/四男・寒がりや(CV:石谷春貴/猪股慧士)
ともに18歳の双子で、体質が正反対です。暑がりやは夏になると役に立たなくなり、明るく人なつっこい性格。寒がりやは冬に役に立たなくなり、穏やかでやさしい性格で、体感温度によって髪の色が変わります。双子として生まれた二人が、季節ごとに交代で使いものにならなくなる。この兄弟の並びだけで一本の物語が成立しそうな設定です。
五男・獣使い(CV:水野清人)
17歳。動物と会話し、従わせることができます。ただし人と接するのは少し苦手。六男・剣自慢、七男・ハラペコとは三つ子の兄弟です。彼が向かうのは、その名も「生き物の国」。
六男・剣自慢(CV:村田太志)
17歳。剣術の達人で、腕前は王国内でもトップクラスです。村田太志さんは公式コメントで「ことば足らずだけれど裏表がなくまっすぐな物言い」と評していて、無愛想さと誠実さが混在する人物だとわかります。
七男・ハラペコ(CV:川島零士)
17歳。くいしんぼうの大食いで、いつも「かわいらしくいること」を心がけている末っ子。そのうえ実は力持ちです。川島零士さんは「一番かわいいのは僕でしょ?」と言えてしまうのは、たくさんの愛情を受けて育った末っ子ならではの屈託のなさだと語っています。
兄弟を取り巻く人々
エレオノーラ(エリー/CV:櫻井みゆき)はマロニエ王国の女騎士。剣の腕は剣自慢にも引けを取らず、体力は底なしです。城代エリオットの一人娘で、七人兄弟とは幼いころから一緒に遊んできた幼なじみ。櫻井さんは「眠くないとエレオノーラの間に流れる穏やかでそわそわとした空気感がたまらなく好き」だとコメントしています。
ブリュンヒルデ姫(CV:藤原夏海)はマロニエ王国のお姫様。少しクールで無愛想に見られがちなことを本人は気にしています。普通のリスよりずっと大きなリスを家族のように育てていて、そのリスにだけはやさしい表情を見せます。
バリバラ(CV:渡辺明乃)は七人の母であり、マロニエ王国第十将軍。武力の国の出身で、母国では歴代最高とうたわれた軍師でした。20年前、夫のペレグリナスとともにこの国へやってきています。ペレグリナス(CV:浪川大輔)は、この国へ来てほどなく亡くなった人物です。七人の父でありながら、多くが謎に包まれています。
ここがすごい!マロニエ王国の七人の騎士のおすすめポイント5選
① 名前が、そのまま人物設定になっている
「眠くない」「ハラペコ」「剣自慢」。これは通称でもあだ名でもなく、作中で通っている名前です。おかげで読者は初対面の七人を一度も取り違えません。名前を覚える手間がゼロのまま、七人ぶんの性格が頭に入る。群像劇でいちばん重い負担を、命名だけで消してしまっています。
しかも名前は、長所であると同時に弱点でもあります。暑がりやと寒がりやを合わせると、一年じゅうどちらかが戦力から外れている計算になる。人物紹介を読んでいるだけで物語の予感がするのは、そのためです。
② 国が変わると、文化も景色も音楽も変わる
同じ作品を読んでいるはずなのに、章が進むと読み心地まで変わります。「夜の長い国」「生き物の国」「食べ物が豊富な国」「好色の国」──名前からして手ざわりが違い、信仰も政治も食卓も国ごとに変わります。ハラペコ役の川島零士さんも公式コメントで、「章ごとに文化も景色もがらりと移り変わり、その土地の音や匂いまで感じられるのもこの作品の魅力です」と書いています。
アニメではこの差が音でも表現されます。監督の佐山聖子さんは、アニメ版の見どころを「ロードムービー的にそれぞれのキャラクターが地方へ出向くので、各地の文化や景色など各章で違ったものをお楽しみいただけます」と説明したうえで、「音楽もその土地に合わせた楽器でお願いしているので、雰囲気は各地でがらりと変わります」と明かしています。章が替われば、鳴っている楽器まで替わる。原作の作りを、音のほうでも支えていきます。
③「幼なじみか、そうでないか」──作者が明かした恋の組み立て方
岩本ナオさんは、画業15周年のときにコミックナタリーへ寄せた回答で、物語の組み立て方についてこう書いています。恋愛要素が入る場合、「主人公の女の子がくっつく相手は幼なじみかそうでないかが問題になってきます」。そして眠くないの章については、「一番はじめだったので、お客様に絶対面白いと感じてほしかったので、相手役を幼なじみにしました」。
作者にとって最重要の分岐がそこにあり、いちばん確実に効く札を第1章に切った、ということです。この話を知ってから読むと、章ごとに「今回はどちらの型で来たのか」を確かめる楽しみが増えます。
④ シリアスの真ん中に、力の抜けた一言が落ちてくる
緊張が高まった場面で、登場人物がふっと現代的な軽口を挟む。これが岩本作品に共通するリズムで、本作でも健在です。深刻な話が続いたあとに息の抜き方が用意されているので、重い展開でも読み進める体力を削られません。
ギャグで茶化しているわけではないのが要点です。真面目な人物が真面目なまま少しズレたことを言うので、シリアスな場面でも笑ってしまいます。笑いの数だけ登場人物への愛着が増えていくのが作者のテクニックです。
⑤ 主役以外の人物にも、ちゃんと事情がある
七人兄弟の周りにいる大人たちは、脇役の枠に収まっていません。城代エリオットを演じる子安武人さんは公式コメントで、「なにげに端役のおじさんたちもとても魅力的なので、そこも注目してくださいね」と書いています。宰相ヒューゴのように、旅の同行者として物語の中心へ入ってくる人物もいます。
ナレーションを務める速水奨さんの言葉を借りるなら、「ファンタジーだけど、歴史や風土、そして人物が丁寧に愛を持って描かれている」作品です。誰かを説明の道具にしないという姿勢が、広大な物語の厚みをつくっています。
章がひとつ終わるたびに主役が替わるので、1巻から順に読むと「四人ぶんの物語を読み終えた」という達成感が四回きます。電子のシリーズまとめ買いなら11冊を一度にそろえられるので、章の切れ目で買い足しに行く手間もかかりません。
アニメ『マロニエ王国の七人の騎士』の放送・配信情報
| 放送局 | NHK Eテレ |
|---|---|
| 放送開始 | 2026年10月3日(土)午後6時25分 |
| 配信 | Prime Video(世界独占配信・2026年10月4日〈日〉午前0時より、以降毎週日曜午前0時) |
| 原作 | 岩本ナオ(小学館「月刊フラワーズ」連載中) |
| 監督 | 佐山聖子 |
| シリーズ構成・脚本 | 藤田伸三 |
| キャラクターデザイン | 前田ゆり子 |
| 音響監督 | 明田川仁 |
| 音楽 | 藤澤慶昌 |
| アニメーション制作 | J.C.STAFF |
| オープニングテーマ | yama「さよならは言わない」(作詞・作曲:yama、亀田誠治/編曲:亀田誠治) |
監督の佐山聖子さんは『不滅のあなたへ』シリーズなどで知られる方です。土地から土地へ移りながら人と別れていく物語を長く手がけてきた監督が、同じ構造を持つ本作を任されたことになります。
主題歌を歌うyamaさんは、「さよならは言わない」について公式サイトのコメントでこう書いています。「出会うと同時に、どんな形であれ、いつか必ず別れは訪れます。だけど、別れがあったとしてもともに過ごした時間は美しい贈り物です」。七つの国をめぐって、そのたびに誰かと出会って離れていく物語の主題歌としては、これ以上ないほど中身に踏み込んだ言葉です。
Eテレの放送は毎週土曜の午後6時25分から。その翌日曜の午前0時に、Prime Videoで最新話が配信されます(初回は2026年10月4日)。土曜の放送を見逃しても日曜には追いつける形なので、リアルタイムで見られない方は配信のほうが向いています。
プライム会員でない方は、30日間の無料体験から始められます。
※配信状況は変動します。最新の配信状況は各公式サイトでご確認ください。
よくある疑問に答えます
Q. 原作は完結していますか?
連載中です。月刊フラワーズで連載が続いていて、単行本は2026年6月10日発売の11巻が最新刊にあたります。刊行ペースはおおむね年1冊で、2024年6月に9巻、2025年6月に10巻、2026年6月に11巻という並びです。11巻は次男・博愛の章の締めくくりで、次はどの兄弟の番になるのか、というところで幕が下ります。
Q. 岩本ナオさんの他の作品も読めますか?
代表作として名前が挙がるのは『金の国 水の国』と『町でうわさの天狗の子』の2作で、どちらも本作より前の完結作品です。『金の国 水の国』は、いがみ合う隣同士の国が、神様の裁定でA国は一番美しい娘を嫁に、B国は一番賢い若者を婿に差し出すことになる──という一冊完結のおとぎ話で、劇場アニメにもなりました(Amazon Kindle/楽天Kobo)。『町でうわさの天狗の子』は、怪力で大食いだけど心は乙女という天狗の娘・秋姫の高校生活を、月刊フラワーズで6年半かけて全12巻まで描いた作品です。マロニエから入った人が、そのままさかのぼって読める作家です。
Q. 公式ファンブックが出ると聞きました
はい。『マロニエ王国の七人の騎士 公式ファンブック』が2026年9月28日に発売されます(A5判・134ページ・税込2,200円)。アニメ化と連載10周年を記念した初のファンブックで、各国とキャラクターのガイド、カラーイラストギャラリー、新たに収録されたロングインタビュー、未公開のラフとネーム、作中の料理を再現したレシピなどが入ります。カバーは描き下ろしイラストの箔押し仕様です(Amazon/楽天ブックス)。
Q. 子どもと一緒に見られますか?
放送枠はNHK Eテレの土曜午後6時25分で、家族で見やすい時間帯です。原作者の岩本ナオさんもアニメ化にあたっての直筆コメントで、NHKでの放送なので小さいお子さまも見てくれたらうれしい、と書いています。ただし刺激の少ないほのぼの作品というわけではなく、襲撃や争いごとも起きる物語です。そこだけは織り込んでおくと安心です。
こんな人におすすめ!
- 中世風の異国をめぐる、恋と冒険のファンタジーロマンスを読みたい人
- 一人の物語がきちんと完結してから次へ進む、連作形式が好きな人
- 言葉にしきれない感情の揺れを、丁寧に描いてくれる漫画を探している人
- 土地ごとの信仰や食べ物まで作り込まれた世界観にひたりたい人
- 『天は赤い河のほとり』のような、異国を舞台にした少女漫画の大河ものが好きな人
まとめ
長男・眠くないの「夜の長い国」から始まり、五男・獣使い、七男・ハラペコ、次男・博愛。11巻までに描かれたのは、七人のうち四人ぶんの旅です。一章ごとに景色も食べ物も総取り替えになるので、11巻という数字が積み上げの重さではなく、旅の回数として感じられます。
Eテレでの放送開始は10月3日。ただ、この作品の良さは放送に間に合うかどうかで測るものではありません。遠い国の食べ物や祈り方や困りごとを一章ごとに見せられて、そのたびに誰かを好きになった人の顔を見る。七つの国のうち、まだ四つしか回っていないのだと気づいたとき、この物語の残りの長さが楽しみに変わります。
読む順番で迷う必要はありません。入口は1巻ひとつだけで、七人の名前を覚える手間さえいらないのですから、あとはページをめくるだけで大陸のまんなかに立てます。
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アニメ『マロニエ王国の七人の騎士』は、2026年10月4日(日)午前0時からPrime Videoでプライム会員向けに世界独占配信されます。Amazonプライムは月額600円・年間プラン5,900円で、初回30日間は無料でお試しできます。第1章「夜の長い国」を、映像と音楽のほうから先に体験してみたい方はこちらから。
※配信状況は変動します。最新の配信状況は各公式サイトでご確認ください。

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