『最近雇ったメイドが怪しい』をおすすめしたい!

イントロダクション

住み込みで働かせていただけませんか、お給料はいりません

両親が事故で亡くなり、使用人も解雇し、もぬけの殻になった屋敷の主人『ゆうり』の元に、ある日突然美しいメイド『リリス』が現れます。

吸い込まれるような紫の瞳を持ち、メイドなのに露出度が高い服を着たリリスは、真面目に働きました

料理は美味しく、掃除も丁寧で、洗濯された服も心なしか着心地が良く感じます。

「怪しすぎる!」

しかし、金も何もないボロ屋敷に、そんな有能で派手なメイドが来るのは、初等部に通うゆうりでも怪しいとわかります。

信用できるのだろうか? なにか企んでいるのではないか? 怪しすぎて何も手につかず、ゆうりは柱の陰からリリスを観察しました。

「何か御用でしょうか、坊ちゃま?」

ゆうりの視線に気づいたリリスは、自分を怪しむ視線に余裕の笑みを浮かべます

「もしかして、私のことがそんなに気になりますか?

そして、大人が子供をからかうように言葉を重ねました。

「何でわかった!?」

「え?」

素直に認めたゆうりに、リリスは目を丸くします

「お前! さては僕の心が読めるのか? もしかして、こんな綺麗なメイド初めて見たからか、お前のこと気になって気になって、夜も眠れないくらいお前のことを考えていたことに気付いていたのか!?

警戒心は変わりませんが、想ったことをそのまま告げてくるゆうりの素直さに、リリスの頬が赤く染まります。

「!?!? ……はい…」

「なんてメイドだ!!」

「……よく眠れるハーブティを用意いたしますね…」

「よろしくたのむ!」

耳まで真っ赤にしたリリスは、逃げるように立ち去りました

「やっぱり怪しい!」

大好きな坊ちゃまをからかっちゃうメイドと素直な想いが口に出ちゃう坊ちゃまの攻守逆転ラブコメ『最近雇ったメイドが怪しい』をおススメしようと記事にしました。

『 昆布わかめ』による漫画作品。ジャンルは『ラブコメディ』

2019年10月にTwitterとpixivで掲載された後に、『月刊ガンガンJOKER』にて2020年2月号から公式連載が開始されました。

コミックスは『スクウェア・エニックス』にて既刊5巻まで発売中です。

2020年5月時点で、シリーズ累計発行部数45万部を突破しています。

『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤシリーズ』や『魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』を手掛けた『株式会社SILVER LINK.』と、『株式会社BLADE』の共同でアニメ化が行われており、2022年7月から放送中です。

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本作の魅力について、

ゆうり役の『早見沙織』は『「怪しい」とタイトルにありますが、中身は基本的に和やかで、ほほ笑ましい作品だと思います。コミカルなシーンがたくさん出てくるので読んでいて楽しい気持ちにしてくれますし、根底にあるちょっぴり謎めいた部分も気になります』

リリス役の『高橋李依』は『絵や表情がとにかく可愛い! リリスの瞳がどのコマでも深い紫色で描かれているのも、怪し可愛くて印象的でした。そして、眺めているだけでもニマニマしてしまう二人のやりとり。坊ちゃまの真っすぐすぎる言葉選びには、私も身もだえております』

とコメントしました。

 

あらすじ

「坊ちゃまには心身共に、健やかにのびのびと育ってほしい」

そんな想いを秘めて屋敷にやってきたメイド『リリス』でしたが、状況は思っていたものと違いました

リリスの背中に刺さるのは、警戒心に満ちた主人『ゆうり』の視線です。

眉間に皺を寄せて怪しんでいました

リリスが突然押し掛けたので、無理もない反応でしたが、このままではゆうりの生活に悪影響です

「健やかに生活していただくために、坊ちゃまと仲良くならないと……

心を許してもらえる大人のメイドになるべく、怪しむゆうりにリリスは大人っぽく微笑みました。

「そんなに私ばかり見て、退屈ではございませんか?」

「怪しい!! そう言って僕の目を盗んで悪巧みをしようとしてるんだな!」

「えっ……?」

想像とは違うゆうりの反応に、リリスは言葉を詰まらせます。

「その手には乗らないぞ! そもそもリリスは仕事している様子も美しいからな!

(ん……?)

困惑するリリスに、ゆうりはまっすぐ言葉をぶつけてきます

「どこから見ても、何をしても、退屈なわけがないだろう!! 一生見ていたいくらいだ!!

(あええー…????)

褒めに褒められて、耳までに真っ赤になりながら、リリスは一時撤退しました

「ダメです……坊ちゃまがまっすぐすぎて、余裕ある大人な対応が全然できない!

このままでは、いつまでたっても信用してもらえない

次こそは、とリリスは呼吸を正し、気を取り直してゆうりと向き合います。

「坊ちゃま、せっかくお屋敷に2人でいるのです、息抜きに楽しく遊びませんか?」

「これ以上に? お前が来てから十分楽しいのに? リリスが傍にいるだけで僕は楽しいのに!?

(んおあええーっ! ※胸がキュンキュンする時に出る悲鳴らしき叫び)

坊ちゃまに信用してもらえるように、もっと笑ってくださるように、リリスは少しずつできることを始めます。

頼れる大人のメイドとして、坊ちゃまの警戒を解くことはできるのか

 

作風・感想

本作は、『最近雇ったメイドを怪しむ坊ちゃま』と『それをからかうメイド』の掛け合いを楽しむラブコメディです。しかし、実際は『主人に頼られる大人であろうと振る舞うメイド』を、『無自覚タラシの坊ちゃま』が赤面させる物語になっています。

作風は優しく、登場人物たちの掛け合いが主軸です。和やかなムードで話が続き、坊ちゃまとメイドの微笑ましいやり取りを、読者はニマニマしながら見守ります

ただラブコメディにありがちな『すれ違い恋愛』とは毛色が異なり、坊ちゃまが初等部の子供なので『恋』について知らないなど、歳の差もあってどういった結末を迎えるのか予想できません

話は基本的に1話完結です。『坊ちゃまが怪しむ→メイドが余裕を持って受け答えする→坊ちゃまが眩しいくらい素直な言葉でカウンターを決める』という流れで物語は進行しますが、徐々に登場人物の背景や題名にある『怪しい』部分が明かされていきます

そのため話の作りは飽きが来ないようになっており、登場人物たちの毎回絶妙に変わる反応を楽しみ、物語の根底にある謎が気になる仕組みです

登場キャラクターたちのギャップ

坊ちゃまは無自覚タラシの発言が多いですが、初等部の子供ということもあり、素直過ぎるその発言に対して『なに言ってんだコイツ?』という冷めた感情は抱きにくいです。リリスを怪しみ、その秘密を暴こうと奮闘する姿には、子供らしい自然さと可愛らしさがあります。

一方で、両親が既に亡くなっており、リリスがやって来なくても1人で屋敷に残ろうとするなど、主人としての自覚を持っており、そのための勉強も欠かしません。そういった健気な部分もあり、幸せになってほしい、と応援したくなるキャラクターです。

リリスは見た目と発言が大人びた女性であり、怪しい雰囲気を纏い、常に余裕を持って振る舞おうとしていますが、坊ちゃまの素直な言葉で照れてしまうギャップが本作の魅力になっています。

坊ちゃまを翻弄するからかい役と見せかけて、本作のボケとツッコミとオチを担当しており、1人で空回る時もあるなど、内面の動きが激しいキャラクターです。

クールな美人と見せかけて、坊ちゃまに感情を乱されて可愛い部分がどんどん出てきます。しかし、その背景は謎に包まれたままです。謎は物語が進むにつれて少しずつ明かされていくため、クールで可愛いという印象を抱きますが、怪しいメイドという立ち位置がブレることはありません。

 

登場人物

・ゆうり(悠利)

由緒正しい名門校『私立アーデル学園初等部』に通う少年です。

両親が事故で他界して、使用人も全員解雇したことから、クラスメイトの一部には『貧乏人』と言われており、学園に通うのが億劫でした。リリスが屋敷に働くようになってからは、学園にちゃんと通い、悪口を言ってくる輩にも毅然とした態度で言い返しています

屋敷の主人らしく偉そうな口調で話しますが、他人を見下しているのではなく、思ったことを素直に言っているだけです。ただ物語当初はリリスの名前を知らず、『お前』呼びをしていました

真面目かつ素直な性格をしており、他人の言葉を聞き入れますが、自分の考えもしっかりと持っています。その結果、真面目に相手を評価して、それを素直に言うため、非の打ち所がない有能なメイドであるリリスは度々褒め殺しに遭っており、『坊ちゃまが恐ろしい』と言われていました。

リリスのことは怪しむと同時に、四六時中考えるほど想っています。しかし、その気持ちが何であるかを知りません。ただリリスが他の人間と親し気にしていると、やきもちを焼きます

物語当初は猫が苦手であり、料理もしたことがなかったです。

父親に教わったチェスを嗜んでおり、絵心もあります。

 

・リリス

褐色の肌と紫の瞳を持つメイドです。右眼の下にほくろが2つあり、胸元にも1つあります。

ゆうりしかいない屋敷に突然現れて、『住み込みで働かせていただけませんか、お給料はいりません』と言い、メイドとして雇われました。

料理や掃除など、家事全般が得意で、屋敷の手入れも1人でこなしています。仕事熱心で向上心も高く、家事の本を読み、夜な夜な料理の勉強もしていました。

見返りを求めないその姿勢に裏はなく、『ゆうりの健やかなる成長』を願っています。そうする理由について語ることはなく、ゆうりに尋ねられてもはぐらかしていました

ゆうりをからかうような言動は、元々のクールな性格に加えて、大人のメイドとして頼られたいと思っているのが原因であり、その本心は『メイドとしてゆうりに信頼されたい』です。しかし、ゆうりからカウンターで褒め殺しに遭うのが日常茶飯事であり、耳まで顔を真っ赤にしています。

元同僚からは『歳の割に大人っぽくてクール』、現主人からは『少し子供っぽくてかわいいところもたくさんある』と評されていました。

名前以外の大部分が謎に包まれており、かつては人を寄せ付けない孤独な少女であり、ゆうりと出会っていたことが示唆さています。

 

まとめ

怪し可愛いメイドと天然タラシの坊ちゃんの日常が温かく、微笑ましいです

気になった方は是非一読してみてください。