処刑少女の生きる道 王道のライトノベルファンタジーを解説

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イントロダクション

『旅を楽しむといいわ、アカリ。だって、この旅の終わりに待っているのは……あなたの命の終わりなのだから』

これは、彼女が彼女の命を奪うための物語

異世界の日本からこの世界にやってきた『迷い人』は、純粋概念と呼ばれる異能を宿しています。

過去に迷い人の暴走で世界的な大災害が起こり、今もまだ世界を蝕んでいるため、迷い人は見つけ次第『処刑人』が処分する必要があります。

処刑人として活動する少女『メノウ』は、ある日の任務で迷い人の少女『アカリ』と出会います。

躊躇なく冷徹に任務を遂行するメノウだったが、確実に命を奪ったはずのアカリは平然と復活しました

アカリは純粋概念の力で事実上の不死身状態になっており、メノウはその命を確実に断ち切るため、アカリを騙して共に旅立ちます。しかし、妙に懐いてくるアカリを前に、メノウの心は少しつずつ揺れ動いていく。

王道のライトノベルファンタジー『処刑少女の生きる道』をおすすめしようと記事にしました。

『佐藤真登(敬略称)』によるライトノベル。イラストは『ニリツ』が担当。

ジャンルは『アクションファンタジー』

『第11回GA文庫大賞』の大賞受賞作で、GA文庫(SBクリエイティブ)より2019年7月から刊行されています。全11巻で完結済みです。

GA文庫大賞において大賞が選出されるのは、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』以来7年ぶりです。

シリーズ累計発行部数は2024年1月時点で40万部を突破しています

メディアミックスとして、『三ツ谷亮』による漫画版が『スクウェア・エニックス(ヤングガンガンコミックス)』より全7巻で発売中です。

アニメ化も行われており、『株式会社ジェー・シー・スタッフ』によって全12話で放送されました。

本作の魅力について、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の『大森藤ノ』は『衝撃的な冒頭から厚みのある世界観に引き込まれ、トドメはページを重ねるごとに魅力的になっていくヒロイン達』とコメントしています。

あらすじ(序盤のネタバレあり)

異世界に召喚されたら無一文で放り出され、橋の下で一晩過ごすことになった高校生『ミツキ』は、市民から通報を受けたやってきたという神官服の少女『メノウ』に保護されました。

メノウの助けで秘められた力『対象を消失させる異能』を知ったミツキは、これからの異世界生活に期待を膨らませるが、待っていたのは冷たい刃による唐突な終わりでした

ここは『魔導と呼ばれる概念』と『魔具と呼ばれる道具』を介して、『魔法のような力』を行使できる世界。

その世界には、異世界の日本から『迷い人』がやってきます。

迷い人は純粋概念と呼ばれる異能を有しており、通常の魔導を凌駕する驚異的な力を持っていました。

その力は世界を滅ぼしかける『禁忌』で、かつて世界的な大災害『四大人災』を発生させました。そのため危険な存在として、発見され次第、処刑人に処理されます

処刑人としてその日も迷い人を処理したメノウは、ミツキから聞き出した情報をもとに、迷い人の少女『アカリ』に接触しました。

アカリに近づき任務を遂行するメノウだったが、確実に命を断ち切ったはずのアカリは純粋概念の力で復活します。

生半可な方法ではアカリの命を断てないと判断したメノウは、確実に命を絶つ方法を探すため、彼女を騙して共に旅立ちました

出会ったばかりだというのに、メノウのことを過剰なほど信頼するアカリ

アカリの笑顔に、わずかな胸の痛みを感じるメノウ。

これは、彼女が彼女の命を奪うための物語です

作風・感想

本作のテーマは『自分の人生で自分自身が許せないものを内面に抱えてしまったキャラクターが、どうやって自分を許すか』です。

作者の『佐藤真登』は、容赦のないダークな話を書きたいという思いと、スタイリッシュなスパイアクションものを描きたかったという動機がありました。それから2007年に放送されたアニメ『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』の影響を大きく受けて、本作が生まれたと語っています。とくに、冒頭の展開には力を入れており、読者の心をぐっと掴むことを意識しています。

アニメ版の監督『川崎芳樹』は、昔懐かしい、王道のライトノベルの雰囲気がありながらもケレン味がふんだんに盛り込まれていると感じています。

総じて、近年の『異世界モノ』を題材にしたライトノベルでは数少ない暗い雰囲気でありながら、『異世界モノ』のジャンルとして培われてきた「いいところ」を取り入れつつ強い独自性が含まれている作品です。

女性同士の友情

作中の登場キャラクターは女性ばかりだが、『佐藤真登』が『かわいい女の子を書きたい』という欲求の他に『女性同士の間に流れる感情や友情を描きたかった』ことを明かしています。

男性キャラを出して恋愛模様を繰り広げるより、女性同士の関係性を突き詰めていく方が本作に合っているのではないかと思ったそうです。

いずれのキャラクターも根幹が一貫しているのが特徴で、各々の目的を達成することを最優先に動いています。例えばメノウは、処刑人として目的を達するために強くなれるが、自分がやっていることに罪悪感や葛藤を抱いています。その『強いけれど脆いキャラクター』として成長していく姿が魅力です。




登場人物

メノウ

大人びた美貌を持ち、淡い栗毛をポニーテルにした少女。

真面目でクールな性格だが、根は明るく優しい少女で、後輩の処刑人からも(異様に)慕われています。

汚れ仕事を遂行することに迷いはないが、夢に見るほど罪悪感を感じています。

任務に関しては、相手の能力を把握してから確実に仕留めるのが基本スタンスです。

迷い人の警戒心を解くために、外面を取り繕う演技が上手く、「気安く話せる距離感になってから相手の命を絶つ」というメノウ自身もキツイ手段を取っています。

そんな騙し討ちを行うのは、作中でメノウの能力が最も低く、勢いだけで動いたら返り討ちに遭ってしまうからです。たくさん考えて、訓練で身に着けた技術で問題を乗り越えていくロジカルな処刑人です。

作者のかわいいポイントは『自分に厳しいくせに、他人に甘いところ』

時任灯里(ときとうあかり)

日本からやってきた迷い人の少女

メノウに命を絶たれても無意識に復活してしまう純粋概念の持ち主で、確実に処分できる方法を求めて旅立つのが今作の始まりです。

無垢で明るい性格をしており、自分を助けた(と信じている)メノウに無条件で懐いています

なぜメノウに対して好感度が高めなのかは、右も左もわからない異世界で助けられたことを含めても謎に包まれています。

作者のかわいいポイントは『自分の意見をぐいぐい押していくところ』

またアカリは、敢えてライトノベルの記号的な人物として形作られています。『なぜこんなに天真爛漫なのか』『どうしてメノウに絶対的な信頼を寄せているのか』読者が感じるであろう疑問に答えるような内面エピソードを、物語の進行と結びつけて書き加えたそうです。

まとめ

自分のやっていることに罪悪感や葛藤を抱いている処刑人「メノウ」が、アカリと出会ってしまったことで堅い心を溶かされて、どう変わっていくのか

気になった方は是非一読してみてください。

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