『ククルス・ドアンの島』をおすすめしたい!

イントロダクション

『ガンダム、再び大地に立つ』

宇宙世紀0079年。人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀。

地球から最も遠いスペースコロニー群『宇宙都市サイド3』は、『ジオン公国』を名乗り『地球連邦政府』に対し独立戦争を挑みました。

ジオンは圧倒的な国力差にかかわらず、『モビルスーツ』の導入やコロニー落とし等の革新的戦術によって連邦軍劣勢のまま戦争は膠着状態に陥り、開戦から1ヶ月余りの戦いで総人口の半分を死に至らしめました。

それから半年が経過し、中立コロニー・サイド7では連邦軍による戦局打開の切り札たるモビルスーツ製造計画『V作戦』が極秘に進行していました。

サイド7に入港した連邦軍の新造艦『ホワイトベース』を追跡していた赤い彗星の異名を持つ『シャア・アズナブル』少佐は『V作戦』の情報をつかみ、2機モビルスーツ『ザク』を偵察に送り込みます。ザクは連邦軍のモビルスーツ製造施設を発見しますが、手柄を焦った新兵の暴走により、施設への攻撃が始まりました。

連邦軍の技官でモビルスーツ開発者である父親を持つ少年『アムロ・レイ』は、ジオン軍の奇襲をきっかけに偶然、連邦軍の新型モビルスーツ『ガンダム』に乗り込み、パイロットとなります。

なんとかアムロは2機のザクを撃破しますが、戦闘の影響でコロニーは損壊しました。

生き残ったサイド7市民と戦闘で正規クルーの大半を失い、艦長も重傷を負ったホワイトベース隊は、サイド7市民の中から操船と迎撃に必要な人員を確保してサイド7を脱出します

そして、シャアの執拗な追撃にさらされながらも、ホワイトベースは地球連邦軍総司令部ジャブローを目指すのでした。

戦火を生き残るため、戦艦ホワイトベースで少年少女たちは軍人としての戦いを強いられていくうちに、やがて『ニュータイプ』として覚醒していく『機動戦士ガンダム』の映画作品『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』をおすすめしようと記事にしました。

監督『安彦良和(以下敬略称)』による映画作品。ジャンルは『ロボットアニメ』

本作は1979年に放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話『ククルス・ドアンの島』をリメイク作品です。

テレビアニメ版をそのままリメイクしたのではなく、作中の時系列や設定・デザインは『安彦良和』により『機動戦士ガンダム』を再編した漫画作品『機動戦士ガンダムTHEORIGIN』に準拠しています。

2022年6月3日に全国184館で公開され、3日間の成績で動員20万人を超えており、7月9日には興行収入が10億円を突破する見込みです。

テレビアニメ『機動戦士ガンダム』のアニメーションディレクター・キャラクターデザイン・作画監督に始まり、約40年以上ガンダムシリーズに関わってきた『安彦良和』は、『思い残すことはないので、ガンダムを映像で作るのは、これが最後』と語りました。

本作の魅力について、

ククルス・ドアン役の『武内駿輔』は『戦いを盛り上げるための背景の作り込みもすごいです。決闘感のある演出やモビルスーツの動き、またアムロが子供たちと触れ合うことでむき出しにする感情など、細かい部分にもぜひ注目してみてください』

アムロ・レイ役の『古谷徹』は『「立場や壁を乗り越えて分かり合える」というのが、大きなテーマになっている素敵なエピソードです。僕は、ジオン軍の中にもいい人はいるということが分かるこのエピソードで、アムロの敵に対する見方が変わったと思うんですよね。また、この物語で「結局、犠牲になるのはいつも子供たちで、それを守らないといけないのは大人たちだ」ということをあらためて考えさせられました』

『安彦良和』は『愛が溢れている部分が随所にあります。それをお楽しみいただければと思います』

とコメントしています。

 

機動戦士ガンダムについて

アニメブームの火付け役になった『宇宙戦艦ヤマト』の作品構成と、子供たちがアクシデントにより無人島に漂流する『十五少年漂流記』から着想を得た本作は『宇宙船に乗り込んだ少年少女が宇宙戦争の中で協力しながら生き延び成長する』というストーリー構想から始まりました。

いわゆる『子供向け』を意識した作品ではなく、連邦とジオン、敵味方人間の『戦争』という、より現実感のある状況を描き出しています。

当時のロボットアニメの主人公像は『正義感に燃える、強くて明るい熱血漢』が通例でしたが、アムロは『内向的な性格で、自分自身の戦う理由と意義に思い悩む一般人』であり、リアルな心理描写が描かれました。アムロ役の『古谷徹』が、前例のない主人公でお手本がなく役作りに非常に苦労したという逸話もあります。

アムロ以外の登場キャラクターたちも人物像が丁寧に作られ、連邦軍とジオン軍ともに内部は一枚岩でないなど、重厚なドラマが特徴の一つです。

主役ロボットであるガンダムは量産を前提とした試作品であり、ザクも量産機であるなど、現実の兵器に近い描写がなされました。当時は定番だった合体完了後の決めポーズが無く、各ロボット固有の必殺技や止めの一撃用の決め技が無いことも特徴です。

本作の重要なキーワードとして『ニュータイプ』があり、作中では超能力にも似た特別な感覚を得た人々として描かれていますが、明確な定義や概念はなくファンの間では様々な議論と解釈がなされるなど盛り上がりを見せました。

 

あらすじ(序盤のネタバレあり)

ジャブローに辿り着いたホワイトベースでしたが、ジオンによる奇襲戦が行われました。

ジャブローでの防衛戦を耐えきった地球連邦軍は勢いのままにジオン地球進攻軍本拠地のオデッサを攻略すべく大反攻作戦に打って出ます。

アムロ達の乗るホワイトベースは作戦前の最後の補給を受ける為にベルファストへ向け航行中でしたが、ホワイトベースにある任務が言い渡されました。

無人島、通称『帰らずの島』の残敵掃討任務です。

島へ向かい調査を始めるアムロ達が見たのは、いるはずのない子供たちと一機のザクでした。

戦闘の中でガンダムを失ったアムロは、ククルス・ドアンと名乗る男と出会います。

『島の秘密』を暴き、アムロは再びガンダムを見つけて無事脱出できるのか?

※機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 公式サイト STORYより引用

 

作風・感想

本作はテレビアニメ版では極端な言い方をすれば一種の「捨てエピソード」的な1話であり、その作画崩壊がネタ的に消費されてきた『ククルス・ドアンの島』のリメイク作品です。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』をベースとしたスピンオフ作品である漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』の映画版ではありません。

映画公開を機に2022年5月26日に発売された『竹内清人』による『小説 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は公式ノベライズ作品であり、映画本編では明かされなかったキャラクターたちの詳細な過去が描かれています。

もともとは1話完結の20分ほどの短いストーリーだったので、『安彦良和』はこれを映画にできるかと思っていましたが、シナリオに取りかかった時から『この話は長くなるぞ』と思ったそうです。

アムロがガンダムを失うというマイナスの状況から始まり、ドアンや子供たちと触れ合い、最後はどんな形であれ笑顔で別れていく。そこに至るまでのドラマは大変厚いものになるはずだからです。

外向きには『水で薄めて叩いて伸ばす』と冗談を言っていましたが、普通にやっても長くなる話だと分かり、絵コンテに起こしていく段階では2時間を超えそうだったらしく、長すぎるところを切っていったというエピソードが語られています。

人間ドラマが魅力

元ジオン公国軍の歴戦のモビルスーツパイロットであり、脱走兵のククルス・ドアン

偶然、ザクの襲撃に巻き込まれ、ガンダムに乗り込んだことで専任のパイロットとなったアムロ・レイ

無人島という戦争から離れた世界で必死に日常を送る島の戦災孤児の子供たち

似ているようで立場が違う三者の物語が出会い、変化を描いていく人間ドラマが魅力です。

オデッサ作戦を巡る、連邦軍とジオン軍との駆け引きも見所の一つになっています。

本作のオリジナル要素として『無人島の秘密』があり、原作を知っているガンダムファンの方でも楽しめるストーリーです。

モビルスーツ同士の戦闘も迫力があり、戦いの恐ろしさと非情さが詰め込まれています。

 

登場人物

アムロ・レイ

偶然、ガンダムのパイロットとなった15歳の少年です。

サイド7で行方不明となった父や北米で再会した母カマリアとの別れを経て幾多の激戦の中で戦士へと成長していきますが、未熟な部分も多々見受けられます

本来は『戦いたくない少年』ですが、状況がそれを許してはくれません。そんな中でドアンたちと出会い、何を想うのかが本作では重要になっていきます。

 

ククルス・ドアン

孤島に多くの子供達と酪農用の畜産と暮らしている元ジオン公国軍の歴戦のモビルスーツパイロットです。

地形を利用した戦いで複数の敵を撃破し、ガンダムのシールドを性能が劣っているザクで一刀両断するなど高い実力を持っています

過去の清算とずっと戦い続けながらも、子供たちにそれを悟らせることがなく弱みを見せない、身も心も強靭な男です。

島のある秘密を隠しており、かつての部下であるサザンクロス隊に命を狙われています。

 

まとめ

ネタにもされている『ククルス・ドアンの島』を現代の技術で蘇らせた作品です。

気になった方は映画館に足を運んでみてください。

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