『SPY×FAMILY』をおすすめしたい!

イントロダクション

『人はみな、誰にも見せぬ自分を持っている』

世界各国が水面下で苛烈な情報戦を繰り広げていた時代。

東国『オスタニア』と西国『ウェスタリス』の間に鉄のカーテンが下りて十数年、表面上は平和が成り立っていました。

西国の情報局対東課『WISE』から東国に送られた凄腕スパイ『黄昏(たそがれ)』は、東西平和を脅かす危険人物、東国の政治家『ドノバン・デズモンド』と接触するために、ある極秘任務を課せられます。

その名はオペレーション〈梟(ストリクス)〉』

内容は、1週間以内に『結婚して子どもをこさえろ』でした。

子どもをデズモンドの息子が通う名門校に入学させて、用心深いデスモンドが唯一表舞台に現れる懇親会へと潜入することが目的です。

『黄昏』は精神科医『ロイド・フォージャー』に扮して、偽装家族を作りました。

しかし、彼が養子にした少女『アーニャ』は心を読むことができる超能力者で、偶然出会って利害の一致から妻役になった『ヨル・ブライア』は始末屋でした。

3人はお互いに正体を隠しながら、ひとつ屋根の下で暮らすことになります。

世界の平和が託された偽装家族はトラブルばかり『SPY×FAMILY』について記事にしました。

『遠藤達哉(敬略称)』による漫画作品。ジャンルは『ホームコメディ』

『少年ジャンプ+(集英社)』にて、2019年3月25日より隔週月曜更新で連載中です。

コミックスは『集英社』にて既刊12巻まで発売中です(2023年10月現在)。

2022年8月の時点で、シリーズ累計発行部数は2500万部を突破しています。

数多くの賞を受賞しており、朝日新聞や産経新聞でも取り上げられました。

『少年ジャンプ+』史上初の大ヒット作で、1話のコメント数が2000超え、5話までに総閲覧数が300万を突破しています。発行部数も止まることがなく、最高記録を更新し続けています。

更新される隔週月曜日午前0時前後は閲覧者が増えるため、負担がかからないように『少年ジャンプ+』のサーバーを増強したという逸話もあります。

集英社の日本国外向けプラットフォーム『MANGA Plus』でも翻訳・公開されており、連載当初から各国で人気を博しています。アニメ化する前に、海外で日本の漫画作品が人気になるのは珍しいそうです。

『進撃の巨人』や『甲鉄城のカバネリ』を手掛けた『株式会社ウィットスタジオ』と『ダーリン・イン・ザ・フランキス』や『約束のネバーランド』を手掛けた『株式会社CloverWorks』の共同制作でアニメ化が行われて、2022年4月から放送がスタートしました。また第2期が2023年10月から放送されています。

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本作の魅力として、

ロイド・フォージャー役の『江口拓也』は『それぞれ背負っているものは重いですが、家族って良いなぁと改めて感じさせてくれる』

アーニャ役の種﨑敦美は『想定通りと想定外が、絶妙なテンポとリズムを刻んでページをめくる手を止めさせない』

ヨル・ブライア役の早見沙織は『3人はお互いの思惑を知りませんが、読者には全てが見えている、それなのに先がどうなるのかわからなくてうずうずする』

とコメントしています。

 

あらすじ(序盤のネタバレあり)

すべてはよりよき世界のために。

東国『オスタニア』と水面下で情報戦を繰り広げる西国『ウェスタリス』の情報局対東課『WISE』に所属する凄腕スパイ『黄昏(たそがれ)』は、ある極秘任務を遂行するために東国へ潜り込みます。

作戦名は『オペレーション〈梟(ストリクス)〉』。

内容は、1週間以内に偽装家族を用意して、子どもを名門イーデン校に入学させることです。

イーデン校には東国の国家統一党総裁『ドノバン・デズモンド』の息子が通っており、懇親会へと潜入してデズモンドに接触することが目的です。

任務のために『黄昏』は、精神科医『ロイド・フォージャー』に扮し、孤児院で子供を引き取ろうとします。

そこで少女『アーニャ』と出会い、彼女が新聞のクロスワードを解いて高い知能を見せたことから、ロイドは入学試験を突破できると踏んで養子にします。実はアーニャは人の心が読める超能力者であり、ロイドの心を読んで賢いフリをしていました。

実は頭がよくなかったアーニャに振り回されながらも、ギリギリ筆記試験に合格しますが『次の面接試験には両親揃って来るように』と厳命されていたので、ロイドは急いで婚活を始めます。

その矢先、ロイドは『ヨル・ブライア』という女性に出会います。ヨルは公務員であり、心配性な弟を安心させるために恋人を探していました。アーニャはヨルの心を読み、その正体が始末屋であることを知ります。娯楽に飢えていたアーニャは、ヨルが母親になってくれるように仕向けました。

そうしてお互いの利害が一致した結果、3人は互いに素性を隠しつつ、共に暮らすことになります。

ハプニングだらけの偽装家族に、世界の平和が託されました。

 

作風・感想

作者が『正体を隠している』シチュエーションが好んでおり、3人はそれぞれ秘密を抱えているのが特徴です。スパイのロイド、始末屋のヨルという偽装夫婦の関係は、ハリウッドのスパイ映画を連想させます。そこに超能力者のアーニャが加わることで、『SPY×FAMILY』らしさが生まれています。

作品冒頭で『人はみな誰にも見せぬ自分を持っている』という主題が提示されつつ、偽装家族が本物の家族になっていく過程が、読む人の心を温めてくれる作品です。

ホームコメディ

ジャンルがホームコメディとあるように、ハードなアクションはありますが、テンポの良いギャグが散りばめられています。海外の映画的な雰囲気を維持したまま、破綻しそうで破綻しない綱渡りのようなドラマが魅力です。

元戦災孤児の黄昏、元被検体のアーニャなど、各キャラクターのバックグラウンドは重く、だからこそ今の生活を大切にしたり、悪くないなと思うシーンに説得力があります。

テンポの良い会話劇から、結末が予測不可能なドタバタ劇まで、静と動の面白さが詰まっています。アクションシーンもギャグ調で進んだかと思えば、いきなりシリアスになったりと温度差が激しく、それでいてストーリーの起承転結が破綻しません。

作風は明るいですが、世界観はシビアなため、黄昏とヨルが仕事で敵を始末するシーンも多いです。その辺りもギャグテンポで進むことがあり、時折ブラックユーモアが漂います。

登場人物

黄昏

本名は捨てており、黄昏はコードネームで、ロイド・フォージャーも偽名です。

凄腕のスパイであり、銃撃戦から爆弾の解体まで幅広い任務をこなせます。変装も得意で、身長と体型という限度はありますが、数分たらずのホームビデオで本人を演じています(本人いわくプロには見破られる)。

元戦災孤児で「(過去の自分のような)子どもが泣かない世界」を作るためにスパイになりました。普段は冷徹で合理的な考え方をしますが根っこの部分は熱く、アーニャやヨルの日常生活にも気を配っています。

真面目な性格の常識人で周囲に対してよくツッコミを入れていますが、良い父親として振る舞おうとした結果、変な方向に突っ走ることも多いです。

深読みし過ぎて自爆することも多く、自由人アーニャやズレているヨルに振り回されているせいか、胃痛がだんだん酷くなっています

アーニャ

他人の心が読める超能力少女で、年齢は自称6歳。

ある組織の実験体『被検体007』でしたが、様々な実験に嫌気が差して逃亡します。以降はアーニャと名乗り、能力を隠しながら施設と里親を転々としていました。

心を読む能力はオンオフができず、多数の声を読んでしまう人混みやクソでか感情が苦手です。また距離が離れすぎると読めなくなったり、新月には能力が使えなくなります

正規教育を受けたことがないため心を読んでも意味が理解できないなど、知識不足の描写が多く、言葉遣いもたどたどしいです。勉強、運動どちらも苦手で、ロイドをよく悩ませています。

頭は悪いが回転は速く、ロイドやヨルの窮地を救うこともありました。

好物はピーナッツ。

ヨル・ブライア

いばら姫の通り名を持つ始末屋です。

表向きはバーリント市役所の女性事務員で、組織からの指示を受けて、お客さま(対象者)を接客(排除)します。

誰に対しても敬語で話す優しい雰囲気の女性で、嘘をつくことも苦手ですが、腕っぷしは作中でもトップクラスです(ファンブックいわく黄昏の身体能力が70なら、ヨルは100)。

車に轢かれても走り続けたり、お尻を銃で撃たれても我慢できる忍耐力を持っています。フグの毒やクマを卒倒させる毒ガスを浴びても平気ですが、お酒には弱いです。

剛力の持ち主で、手加減しなければ相手の骨を粉々に砕きます。彼女の蹴りを食らった人間は、ピンボールのように壁と地面を撥ねます。

戦闘技術が極めて高く、拳銃など飛び道具なしの状態で、十数人の同業者を撃退しています。

虫が苦手で、料理も犬が拒否するレベルで壊滅的です。

まとめ

秘密を隠しながら、それでも家族のために奔走する3人の姿が心温かい作品です。

気になった方は、是非一読してみてください。