『異世界おじさん』をおすすめしたい!

イントロダクション

2017年秋、17歳の時にトラックにはねられて、17年間昏睡状態だった叔父(以下おじさん)が目覚めました。

『イレルラーズ「グランバハマル」トナガルトエバリレクス』

連絡を受けた甥の『たかふみ』が病院に訪れると、おじさんの頭はおかしくなっていた。

昏睡状態だった間、剣と魔法の異世界『グランバハマル』にいたと、意味不明なことを語るおじさんに言葉を失うたかふみ。

その様子に気付かずおじさんは他の親族を探すが、たかふみから意識が戻らないおじさんの処遇をめぐって、家族で言っちゃいけないことボロクソ言い合った挙句一家離散。たかふみの母(おじさんの姉)も会いたくないというショッキングな事情を説明されます。

するとおじさんはメモ帳に何やら書き込み、『イキュラスキュオラ』と謎の呪文を唱えました。

『異世界にいた証拠を見せよう』

親族の惨状を忘れたような態度でおじさんは言うが、信じていないたかふみは拒否します。

しかし、おじさんは病室の隅にあるコップに向けて、謎の呪文を唱え始めました

直視できない痛々しい姿に辛くなりながらも、たかふみは不景気で家が厳しく、自分もバイトをしなければならない状態だと説明します。そのまま自立支援の書類を渡そうとしたところで、コップがふわりと浮きます。

それは疑いようもなく魔法でした。

元々異世界ファンタジーが好きだったたかふみは態度を一変させ、自立支援の書類を破り捨てながら詳細を聞こうとします。

おじさんは『そんなことより昏睡している間に、ゲームハード戦争はどうなったのか?』と尋ねました。具体的にはSE●Aがどうなっているか

2017年秋、SE●Aはゲームハード戦争から既に撤退しています

一家離散より衝撃を受けたおじさんは、もう一度『イキュラスキュオラ』と謎の呪文を唱えます。

それは記憶消去の魔法で、耐え難いことがあると使うようです。

異世界では辛いことが多かったので、『メモに残して記憶を消していた』とおじさんは語ります。たかふみがメモに目を通すと、涙が止まらなくなるほど衝撃的な内容が書かれており、おじさんに記憶の消去を求めました。

一週間後。

たかふみは退院したおじさんの力(魔法)を金にかえて、食っていこうと心に決めました。

とりあえずユーチューブで『魔法で光の剣を作ってみた』動画を公開し、6万ほど広告収入を得たおじさんは、その金で『Xb●x ●ne』を買ってとても楽しんでいます。

たかふみはユーチューバーとなったおじさんとルームシェアを始めながら、異世界での出来事を訪ねました。おじさんの口から語られるのは、たかふみが思い描く輝かしい異世界ファンタジーではなく、17年間におよぶ孤独で壮絶な物語でした。

『異世界は美男美女が多くてな、醜かったらしいおじさんはオークの亜種として狩られかけた

『おじさんちょっと待って、重い、皿洗いしながら聞く話じゃない

異世界帰りのおじさんが語る、血と涙と時々ゲームな物語!『異世界おじさん』をおすすめしようと記事にしました。

『殆ど死んでいる』による漫画作品。ジャンルは『異世界ファンタジー、ギャグ』。略称は『いせおじ』

元はTwitterで掲載されていた作品で、それが話題になって商業化が決定『ComicWalker(KADOKAWA)→WebComicアパンダ』にて2018年6月から連載を開始しました。

ニコニコ静画でも投稿されており、累計再生回数は2000万回を突破、累計コメント数は21万を超えており、お気に入り登録数は24万人以上です。

コミックスは『KADOKAWA〈MFコミックス〉』にて既刊12巻まで発売しています(2024年11月現在)。

シリーズ累計発行部数は200万部を突破しました

『次にくるマンガ大賞2019 WEBマンガ部門』第8位(U-NEXT特別賞とのW受賞)、『このマンガがすごい! 2020 オトコ編』第11位、『BOOK☆WALKER大賞 2020』準大賞に選ばれています。

作中では度々SEGAの話題を出しており、SEGAから新商品の販促漫画に抜擢されました。またSEGA運営のソシャゲ『チェインクロニクル』にコラボキャラとして参戦しています。2021年末にはYouTubeで公開されたスペシャル映像にて、看板キャラであるソニックから直々に『セガ公認おじさん』の称号を授与されています。

アニメ化も行われており、『株式会社Atelier Pontdarc』にて2022年7月6日から配信が開始されます。アニメ版ではSEGAネタに関して、一切の修正が入りません

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本作の魅力について、

おじさん役の『子安武人』は『見始めたら「想像していた話と違う!」ってなると思います。そう思ってからが非常に面白いと思うんですよね。現実に帰ってきてから、回想を使って異世界での物語が進んで行って、ゲーム好きなおじさんの話かと思いきや、ちゃんと冒険をしていて、でもカッコ良いわけではない。見てくれではないとか人種ではないとか、今の時代にも刺さるようなメッセージもある作品なので、今まさに見てほしい作品です』

とコメントしています。

あらすじ(ネタバレあり)

おじさんがまだ17歳の若々しい頃(見た目は現在とほとんど変わらない)、お年玉を貰って最高にハッピーな状態でゲームソフトを買いに行ったが、トラックにはねられました。

気づくと見知らぬ森の中で寝転んでおり、おじさんは森の中を探索します。すると西洋風の鎧を纏った3人の男を発見するが、声をかけた瞬間に、問答無用でボコボコにされました

男たちには言葉が通じず、カツアゲかと思ってお札を出すが、攻撃アイテムだと勘違いされて更にボコられました

おじさんは異世界『グランバハマル』に迷い込んでおり、不幸にもその世界の住人は全体的に容姿端麗で美男美女しかいないため、おじさんは異世界基準だと醜いオークでした

ボコボコにされて縛り上げられ、剣で首を落とされそうになったおじさんは『言葉さえ通じればわかり合えるのに……』と呟きます。

実はこの時、おじさんは殴られていて気づかなかったが、やる気ない神様の声が録音音声で流れていました。しかもアジア人というくくりからか中国語で『力を与える』と囁かれており、おじさんの呟きが自動承認されて、『翻訳』の力が与えられました

『俺はオークじゃありません!』

おじさんは異世界語を話し、男たちの誤解を解いてわかり合う……ということはなく、人語を解する希少なオークとして見世物小屋に銅貨3枚(日本円で30銭、つまり約0.3円)で売られました(薄汚れたタワシが銅貨120枚)。

見世物小屋の地下にある檻にぶち込まれたおじさんは、店主に忘れ去られて、一週間雨漏りの水以外口にしていない状態で過ごし、正気を保つために天井の隙間から漏れる月の光に話しかけます

壊れたのではなく、『翻訳』の力で精霊と会話をしていたおじさんは、初めての魔法『光の剣』で地下牢から脱出しました

ついでに別の牢屋に囚われていた小型の魔物とかも逃がしたが、実は大陸選りすぐりの凶暴な魔物で、おじさんは食い殺されそうになります。

生死の境をさ迷うおじさんの脳裏に、SE●Aのエイリ●ンストリームの言葉が浮かびました。

『君の役は、ひたすら逃げまどう一般民衆か? それとも!?』

容赦なく牙を剥く異世界の過酷な環境の中で、極限まで追い詰められたおじさんは、培ったゲーム知識で半ば無意識に魔法を使いこなし、一晩中魔物たちと戦い続けます。

そして戦いが終わり、おじさんは死んだ魔物を美味しく調理して、お腹いっぱい食べました

(本人の中では)かなりいいスタートを切ったおじさんの異世界生活一週間目のお話です。

竜に襲われていたツンデレエルフさんの話に続く。

作風・感想

本作は、異世界でロクでもない目に遭いながらも活躍したおじさんが主人公です。冒険を終えて現実世界に戻って来たが、34歳無職のため、より過酷な現実が待っていました。ひとまず『甥のたかふみ』とルームシェアしながら、『異世界魔法を活用した動画』をユーチューブに上げて金銭を稼ぎ、SE●A中心にゲームを楽しんでいます

気の毒なおじさんの奮闘

『異世界もの』のお約束を逆手にとったコメディ漫画で、リアリティ満載な普通のおじさんが異世界でオーク扱いされ、吊るされ、狩られ、迫害され、気の毒な目に遭いながらも剣と魔法で大活躍します。が、やはり醜い化物だと誤解され、処刑されかけ、村人と冒険者に襲われ、全財産を没収される姿が本当に気の毒で笑いを誘います

一方的におじさんが酷い目に遭うのではなく、ゲーム感覚で動いて状況を悪化させたり、人間不信の結果から余計なことをすることも多いです。良い話で終わるはずが、おじさんのせいで台無しになることも多く、敵味方全員がドミノ倒しのように連鎖的に被害を受けます。そのためキャラクターのヘイト管理が絶妙で、悪役も含めて嫌いになれません。

また『異世界もの』だが、おじさんは冒険を終えて現実世界に帰還しています。異世界での出来事は魔法を使って映像化して、主要人物たちが映画感覚で振り返る形です。夢のない異世界ファンタジーに絶望したり、おじさんが余計なことをする場面にツッコむなど、オーディオコメンタリー形式で回想は進みます

ヒロインたちも気の毒

回想の中では、魅力的なヒロインたちが登場します。異世界だとおじさんは汚いオーク扱いだが、それでもかっこよくヒロインを助けるものだから、行く先々で美少女に惚れられます。ヒロインたちは、おじさんを奪い合うラブロマンスの様相を呈するが、おじさん側に恋愛感情がありません

おじさんはオーク扱いされ続けたせいで、人間不信に陥っていました。また女性経験が皆無なため、見ている方が気の毒になるレベルで女性の扱いが下手くそです(指輪を贈って勘違いさせた後、その指輪を換金して渡し直すなど)。

しかし、根は善良なお人よしおじさんのため、ヒロインたちは惚れてはバットコミュニケーションで突き放されるをエンドレスに繰り返し、だんだんと感情がバグっていくのが本作の恋愛事情です。

17年間の冒険やヒロインたちとの関係の結末として、おじさんは1人で現実世界に帰還しています。ただし、記憶を消去する魔法を多用していることから、その通りに終わるかわからないのも魅力の1つです。

溢れ出るSE●A愛

回想の他に、現実世界に帰って来た34歳無職の生活がストーリーに盛り込まれいます。魔法を使ってユーチューブで稼いだり、17年間のジェネレーションギャップに戸惑ったり、SE●Aのゲームに熱中する姿が汚く描かれています

特にゲームシーンのこだわりは凄まじく、そこだけ読むとゲームマンガと勘違いするレベルです。

キャラクターの癖が強い

おじさんを始めとして、登場キャラクターには何かしらの癖もしくは闇があります。序盤ではまだ常識人に見えるたかふみも、一家離散を経験しているため、現実逃避しがちな言動やくそな世の中を破壊したい願望が見え隠れしています。そんな感情の振れ幅が、キャラクターを好きになる魅力の1つです

また普段の表情から恍惚とした笑みを浮かべたり、感情が壊れて闇落ちした無表情になるなど、浮き沈みする表情の変化が面白いです

登場キャラクター

おじさん

本作の主人公。34歳

17年間、異世界で冒険していたおじさん

長髪・眼鏡・無精ひげで、頬のこけた怪しげな風貌をしており、異世界ではオーク扱い、現実世界でも概ね不審者として扱われます

基本的に温厚な性格で、困っている人を放っておけず、異世界で襲ってきた人間でさえも助けていました。ただ害意ある魔物を相手にした時などは、一切の躊躇なく消し炭にします。

SE●Aハードを選んだ人生のため、エ●リアンソルジャーのスーパーハードクリアに大事な青春をかけており、ゲームしか人生経験なです。そのためコミュニケーション能力が絶望的に低く、また他人と触れ合う人生を送ってこなかったため、論戦に滅法弱いです(他人と口論になったらまず負ける)。

他人の言うことを鵜呑みにしたり、皮肉が通じない一方で、オーク扱いを受けた経緯もあって人間不信です。好意的に接してくる人間は、金銭が目的だと思っています(そのためヒロインたちの恋愛感情にまったく気づいていないどころか、つきまとわれていると思っている)。

恋愛経験がなく、エロ認定を恐れて美少女がパッケージに描かれたゲームを買えなかったが、女性に触れることに対して躊躇がないです。それが結果的に、ヒロインたちの勘違いを加速させています。

異世界ではゲーム感覚で動き、『ひとまず倒せばどうにかなるだろう』と思考を止めることが多いです。ただゲーム脳が役立つことはあり、様々な工夫で難敵を倒しています。

ゲームは上手そうに見えるが、ずっとソロプレイだったため、裏のかきあいといった対人戦が弱いです。また攻略法も独自のため、井の中の蛙状態です

時折人生の教訓や意味深な言葉を発するが、ゲームで得た知識のため浅いです。恋愛観も同様で、SE●Aがスポンサーだった『エ●ァンゲリオン』を見て、ア●カは加●さんが好きだとどや顔で語っています。

金銭感覚は通販の送料を渋るぐらいだが、SE●Aの高額商品を躊躇いなく買うなど、一部壊れています。異世界でも売れば一生食っていける指輪を、トラブル解決のために躊躇いなく手放していました。

17年のジャネレーションギャップからハイテク機器が苦手で、酒を飲んだらすぐ酔います。魔法の補助なしだと、体育の成績は『2~3』のレベルで体力がないです。

見た目とゲーム好きな言動、神がかった間の悪さからとにかく勘違いされるが、付き合ってみれば男女問わず慕われることが多く、誠実さと優しさを持っていることが窺えます

初恋は小学校の時、相手はソ●ックとテイ●ス

たかふみ

準主人公。20歳。

目覚めたおじさんに自立支援の書類を渡しに行ったが、魔法が使えることを知り、ルームシェアを始めました。

小学校の頃からファンタジーライトノベルを読んでいたので、異世界に強い憧れを持つが、おじさんから夢のない話を聞かされて絶望しています。

大人しそうな見た目で、おじさんの的外れな発言にツッコミを入れることが多い、ツッコミ役です。ただ高校時代に一家離散を経験したたため、ここではないどこかの話に救いを求めている傾向があるなど、かなり危ういです。

深刻な家庭問題から現実に幻滅しており、異世界に憧れているため、魔法のような力を持たせると相当やばいタイプと言われています。事実、おじさんと出会う前から『現代でもし魔法が使えたらどうやって敵集団を制圧するか』とか考えていました。

家系なのか、おじさん同様に恋愛感情に疎く、幼馴染から明確な好意を向けられても気づいていません。

まとめ

笑顔が控え目に言って汚いおじさんとヒロインたちの健全なサービスシーンが交互に読者をぶん殴ってくる作品です。

気になった方は是非一読してみてください。

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