『まちカドまぞく』をおすすめしたい!
目次
イントロダクション
『これで!! 勝ったと!! 思うなよ~~~!!』
ある朝、突然闇の一族『まぞく』の力に目覚めてツノと尻尾が生えてしまった高校生『吉田優子』。
一族にかけられた呪い『家族四人で月四万円生活』を解くために、『シャドウミストレス優子(以後シャミ子)』として光の一族の巫女『魔法少女』を倒すことになりました。
しかしまぞくの力に覚醒しても別段強くなったわけではなく、なんなら角の重さで弱体化しており生来のポンコツ属性も発揮してダンプカーに轢かれそうになります。
あわや衝突するところでシャミ子を助けたのは、ダンプカーを片手で受け止める魔法少女『千代田桃』でした。
偶然ターゲットである魔法少女に遭遇したシャミ子は、子供と間違えられておかずパンを施されるなど屈辱的な扱いを受けて激怒、捨て台詞とお礼を言いながら逃げ去ります。
後日、クラスメイトから桃が同じ学校に通っていることを知ったシャミ子は果敢にも挑みますがあえなく撃沈しました。
その後もシャミ子は桃に挑みますが、無惨に敗れ去り、家に帰るためにお金を借りたり、トレーニングをつけてもらいながら次第に親しくなっていきます。
ただシャミ子と桃の間には先代から続く因縁があり、2人が住む町にも多くの秘密が眠っていました。
ポンコツ系庶民派まぞくとクール系筋トレ大好き魔法少女が織りなす日常系マジカルコメディー『まちカドまぞく』をおすすめしようと記事にしました。
『伊藤いづも(敬略称)』による4コマ漫画作品。ジャンルは『ファンタジー系コメディ4コマ漫画』。
『まんがタイムきららキャラット』にて2014年8月号から9月号のゲスト連載を経て、同年11月号から連載が開始されました。
コミックスは『芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉』にて既刊6巻まで発売中です(2022年5月現在)。
第5巻発売時点で累計発行部数25万部を突破しました。
『第3回 次にくるマンガ大賞』『次にくるマンガ大賞 2018 コミックス部門』に2年連続ノミネートされており、『4コマオブザイヤー2015年新刊部門』と『4コマオブザイヤー2016年~2019年既刊部門』で連続1位に選ばれています。
『ニコニコ大百科』と『ピクシブ百科事典』による共同企画『ネット流行語100』にて、シャミ子が言ったセリフ、ではなく言いそうなセリフである『シャミ子が悪いんだよ』が『niconico賞』を受賞しました。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかシリーズ』や『とある魔術の禁書目録シリーズ』を手掛けた『株式会社ジェー・シー・スタッフ』によりアニメ化が行われて、2019年に第一期が、2022年4月から第二期が放送中です。
アニメ監督を務めている『桜井弘明』は『デ・ジ・キャラット』や『魁!!クロマティ高校』など、ギャグ作品を多数手掛けてきました。
本作の魅力について、
シャミ子 / 吉田優子役の『小原好美』は『闇の力とか魔法少女とは言うものの、実際に読んでみたらゆるくて可愛らしいお話だったので、そのギャップが見る人の心を掴むのかなと思った』
千代田桃役の『鬼頭明里』は『キャラクターたちの性格と世界観がちぐはぐに見えて、少し理解できなかったけれども、そういう設定を理解してからはすごく面白い』
とコメントしました。
あらすじ(序盤のネタバレあり)
ある日、夢の中でご先祖様の声を聞いた高校生『吉田優子』が目を覚ますと、ツノと尻尾が生えていました。
母親から吉田家が封印されし『闇の一族』の末裔であることを聞かされた優子は、『光の一族』によってかけられた呪い『家族四人で月四万円生活(医療費、教育費、暖房費は別腹扱い)』を解くため、ドアストッパーや漬物石として使っていたハニワ風の邪神像に光の一族の巫女『魔法少女』の生き血を捧げることになりました。
まぞくとしての力に覚醒した優子は活動名『シャドウミストレス優子(仮)』の名を母親から与えられ、フォークを装備して魔法少女を探すために町をぶらつきます。
しかし先祖返りによって闇の始祖と同じ姿になったものの身体能力は何も変わっておらず(むしろ角が生えたことで重心が変わってグラつく)、生まれつき身体が弱くポンコツ属性も相まって運動神経が終わっていたシャミ子は、ダンプカーに轢かれそうになって眼を閉じます。
視界を閉ざす直前に桃色の風が迸ったように見えたシャミ子が恐る恐る眼を開けると、高身長でクールな雰囲気とは裏腹にピンクのひらひら衣装を身に纏った少女が片手でダンプカーを受け止めていました。
その怪力に戦意を喪失してコスプレであってくださいと願うシャミ子でしたが、片手でダンプカーを止めた少女は案の定魔法少女でした。
図らずもターゲットと遭遇したシャミ子はフォークを掲げてなけなしの臨戦態勢を取りますが、お腹が空いていると勘違いされておかずパンを施されます。屈辱的な扱いを受けたとシャミ子は憤慨しましたが、お腹は正直で腹の虫が暴れてしまい、顔を真っ赤にしながら捨て台詞と助けてくれたお礼を言って逃げ帰ります。
この時助けてくれた魔法少女『千代田桃』が同じ高校に通っていることを知ったシャミ子は、クラスメイトから桃が世界を救ったことがあるらしいことや握力計を振り切ってしまう怪力の持ち主であることを教えられて、町内規模のへなちょこ魔族では敵わないと一時撤退しようとしますが、クラスメイトに梯子を外されて(普通に桃を呼んできた)会敵しました。
頭一つ小さいシャミ子に膝を折って視線を合わせたり、悪気なく客観的に小さいことを指摘した桃に怒ったシャミ子は勢いよく殴りかかりましたが、戦闘センス皆無の駄々っ子パンチでは避ける必要性すら感じさせず、逆にパンチの仕方を丁寧に教えられて撃沈、捨て台詞を残して逃げ去りました。
その後もシャミ子は桃に挑み、一緒にランニングしたり、家に帰れなくなってお金を借りたり、洗濯に失敗して制服を借りたり、と激闘を繰り広げて不本意ながらも仲良くなっていきます。
桃の方もシャミ子がまぞくに覚醒したことで闇の力に呑まれて暴走しないか観察していましたが、その毒気の無さに心がほだされていきました。
2人の出会いは偶然だったかもしれませんが、生まれつき身体が弱かったシャミ子の出生や桃の過去、そして商店街で人気のゆるキャラの出自は全て繋がっており、ゆるふわな日常を過ごしながら、大なり小なり様々な事件を解決して町の平和を守っていくことになります。
作風・感想
基本的に4コマ漫画でストーリーが進んでいきます(たまに怪力魔法少女が力技でコマをぶち抜きます)。
どれだけ日常からかけ離れた世界であっても、日常作品
いわゆる日常系ですが、序盤はシャミ子が桃を倒そうと少しずつまぞくとしてできることが増えていき、だんだん各々のキャラが抱えている問題が浮き彫りになっていくストーリー性が魅力です。
日常系について『伊藤いづも』は『どれだけ日常からかけ離れた世界であっても人である以上避けて通ることができない普遍的な日々の営み、それを通して変化していく心の機微や関係性に焦点を当てた作品』という考えがあり、非日常の中の日常を見せてくれる漫画を描きたいと語っています。
物語の舞台である『多魔市』は原作者が幼少期に過ごした東京都多摩市がモデルになっています。また様々なところから追われてきた多種多様な文化の吹き溜まりというコンセプトがあり、ヨーロッパや中国などの様々な文化が集まる終着点で、世界地図の東の果てにある辺境の地である日本そのものの縮図でもあるそうです。
当初は『魔法少女』を主人公とした『ずぼらで暴力的な魔法少女と、敵対しつつもそれをお世話しちゃうまぞくの女の子のお話』であり、そこから担当編集者との細かい打ち合わせの過程でまぞくの子の方が主人公になったという経緯があります。
『伊藤いづも』は本作のテーマとして『お互いの意見がぶつかったときに、一方的に相手を否定するのではなく、いかに話しあって妥協点を見つけて解決していけるか』を上げており、どのキャラクターにもそれぞれなりの信念を持たせることを意識しています。
読み返すと新たな発見があるマンガ
作中に散りばめられた伏線については『キャラクターが上手く使ってくれそうな要素を何個か置いておき、その中からキャラクターたちにどれを使うのか決めてもらうイメージ』らしく、作者の私できるのは作中の世界に使えるかもしれない石ころを置くことだけと語っていました。
話の中盤までは先の展開をほとんど考えておらず、キャラクターたちが作者の思惑を外れて自然と動き、それにあわせた着地点を決める形で作劇を行っているそうです。そのため事前に提出したプロットと実際の原稿の展開が全然違っていることも多いらしいです。
『伊藤いづも』は普通に読むだけでも楽しいけれど、読み返すごとに新しい発見ができるマンガを好んでおり『ライトな読者もディープな読者も両方楽しめるマンガ』を目標にしています。実際に第1話で『千代田桃』がダンプカーを受け止めた時に、よく見ると左手を骨折しており、第2話でギプスをはめて、第3話でリハビリを始めています。
他にも、コマの後ろで誰かが何かをしていたり(料理にレモンをかけるなど)、前の話で登場した物が部屋に転がっていたり(みかんの段ボールの山など)、本筋と関係ない小ネタを描くのが楽しいそうです。コマの中のキャラクターたちはみんな何か考えていて、物が置いてある場所にも全部意味があるといった考えがあり、異例な描き込み量に繋がっています。
登場人物
吉田優子/シャミ子
本作の主人公。
15歳のある朝、突然闇の一族の力が覚醒してツノと尻尾が生えた女子高生。
身長は145cmと小柄だが、胸のサイズは大きめ。
性格は真面目で努力家ですが、ポンコツで空回りしてしまうことが多く、『これ勝ったと思うなよ』という捨て台詞でオチがつくのが定番になっています。
普段は丁寧語で話しますが、威厳あるまぞくとして振る舞おうとしている時は断定口調になります。
勉強はできなくもないが解けない問題に何時間もかけるなど効率が悪く、母親いわく『アホ』桃いわく『おバカ』。
生まれつき身体が弱く、ツノと尻尾が生えるまでは走ることもNGであり、体育の成績は1です。
全体的にまんべんなく才能がない、ハートが弱い、勘が悪い、体力がない、簡単にあきらめるなど酷評されており、母親譲りのポンコツに加えて、一族にかけられた呪いのせいで運もなくあらゆる面で終わっています。
廃墟と見間違えるほどぼろいアパートに母親と妹と一緒に住んでおり、月のお小遣いは当初120円しかなく、ソースとマヨネーズが乗っていて小麦粉の味がするお好み焼きに感激してしまう生活を送っていました。
そのためあきらめは早いもののメンタル自体は強靭で立ち直りが早く、苦労してきたからか弱っている人に寄り添う優しさを持っています。
趣味は古いゲームでRPGがお気に入りです。儀式や必殺技がツボらしく、それらしい単語を聞くと興奮します。
好きな食べ物は特になし。だいたいの食べ物は美味しい(口に入れるとしびれるか、喉が本能的にえづく以外のものは食べる)。
作者が作中で一番動かしやすいキャラクターとしてシャミ子を上げており、自然とセリフが出てきてボケとツッコミを1人でこなしてしまうと語っています。
千代田桃
桃色魔法少女。
シャミ子とは違うクラスに所属する15歳の女子高生。
身長は166cmと長身で、無駄のないスラリとした体型をしています。
クールな性格ですがかなり大雑把であり、面倒になったら力技で解決しようとします。勉強は嫌いですが頭は良く、また回転も速いので、シャミ子が新しく身に付けた能力を悪用する方法をすぐに思いついては周囲から引かれていました。
筋肉、有酸素運動、修行を好んでおり、休みの日は筋トレを続けた結果、丸太や巨大な鉱山車両用タイヤ持ち上げるほどの怪力を持っています。
料理は兵器と言われるほど壊滅的で(なんか光るモノを作る)、普段はジャンクフードか生のパンとウィンナーをそのまま食べており、後々シャミ子に餌付けされていくことになります。
意外と気にしいな一面があり、また傷つきやすいのでメンタル的に闇落ちすることが多く、闇の一族としての素質があると作中ではよくつっこまれています。
好きな食べ物はうどんですが、出汁の概念を知りませんでした。
商店街のゆるキャラ『たまさくらちゃん(フォロワー80人)』に特別な親しみを感じており、グッズを買い漁っています。
また猫好きで猫を愛でる委員会を設立しており、動物園で虎の赤ちゃんと触れ合える機会があった時は全力で夏休みの宿題を終わらせました。
手先が器用で裁縫や小物づくりが得意であり、かわいく作れると地味に喜んでいます。
本人は恥ずかしがっていますがかわいいモノが好きであり、服のセンスもかわいい系ならば問題はないのですが、それ意外だとシンプルになるか裸の方がマシと言われるほどクソダサセンスを発揮します。
構想段階ではかなり暴力的なキャラだったらしく、シャミ子がかわいそうだったのでソフトなやりとりができるキャラに落ち着いたという逸話があります。
まとめ
設定を読み込むと、非常に危ういバランスで成り立っている世界観が垣間見えて、多くの考察が捗る作品になっています。
気になった方は是非一読してみてください。
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