『Fate/Samurai Remnant(フェイト/サムライレムナント)』をおすすめしたい

この記事はFate/Samurai Remnantフェイト/サムライレムナントについて書いた記事です。

イントロダクション

『かの夜、青年の平穏は終わりを迎えた』

月に誘われ集った者らと、刃を、声を、心を交わし。

彼は、盈月ねがい戴かかなえんとする。

慶安四年、江戸。

血で血を洗った乱世の終結から早数十年、民は泰平を享受する日々を送っています。

だが、その裏で人知れずして七人七騎の殺し合い、『盈月の儀』が幕を開けます。

浅草に住まう青年、宮本伊織を渦中へと巻き込みながら。

概要

発売は2023年9月28日(Steam版のみ9月29日)。ジャンルはアクションRPG

初週売り上げは全世界で30万本以上

週刊ファミ通2023年10月5日号のクロスレビューにて、プラチナ評価獲得。

日本ゲーム大賞2023 フューチャー賞受賞作品。

海外の雑誌、情報サイトなど約200メディアのレビューを集めて数値化する『海外でのゲーム評価=メタスコア』は81点(2023年10月9日現在。81点は『ぷよぷよテトリス』『ニューダンガンロンパV3』『ポケットモンスター ソード・シールド』『天穂のサクナヒメ』などと同じ評価)。

開発はコーエーテクモゲームスのω-Force(代表作は無双シリーズ)&TYPE-MOON(代表作は『Fate』シリーズ)。

シナリオは、全世界で412万本(2022年12月末時点)売れた『ファイアーエムブレム 風花雪月』を担当したコーエーテクモのシナリオチームが執筆¹。

¹……物語全体のプロットやキャラクター設定は世界累計収益1兆円を達成したスマホゲーム『Fate/Grand Order』のライター陣が固め、それをもとに執筆。Fateシリーズに関わって来た『桜井光、東出祐一郎(以下敬略称)』が監修するという形でキャッチボールを重ね、総括的な監修を『空の境界、月姫、Fate/stay night』の生みの親である『奈須きのこ』が担当しました。

作品コンセプト

本作のコンセプトについて、プロデューサー『長庄知彦²』は『究極の聖杯戦争³体験』と語っています。『Fate』は2004年に発売したビジュアルノベル『Fate/stay night』から続くシリーズで、多数の派生作品が展開中です。媒体もゲーム・小説・漫画・アニメと幅広く、複雑化した設定から「シリーズに共通する背景設定の理解が難しい」「なにから手を付ければいいかわからない」という人たちに対するフォローアップが、本作では考えられています。

『長庄知彦』は東京ゲームショウ2023のインタビューにて、何も知らない主人公と共に物語を進めて、シリーズに共通する世界観を自然と知れる。そんなゲームデザインを行い、本作をクリアする頃には「Fateシリーズ? ああ、詳しいよ」と語れるくらいには設定を理解できるシリーズの入門編」として遊んでいただければ』とコメントしています

²……ω-Forceブランド長。『真・三國無双』シリーズや『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』『刀剣乱舞無双』といったコラボレーションタイトルを担当。

³……聖杯戦争。本作では『盈月の儀』が同じ意味を持ち、あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機『聖杯(本作では盈月)』をめぐり、一定のルール下で争います。極端な言い方をすれば、ルール有りのバトルロワイヤル。

『入門編』として、『今までのFateシリーズ』に触れずとも楽しめる作りで、今までの作品を知っている前提はないです。他シリーズでも登場したキャラクターたちがスターシステム的に登場しますが、完全なゲストキャラクターではなくストーリーに上手く溶け込んでおり、シリーズファンのために無理やり組み込まれた異物感は感じません。むしろ他シリーズを知りたくなる架け橋として機能しており、つい他作品に手を伸ばしたくなります。

『Fateシリーズ』の初心者にだけ向けた作品ではなく、今までのシリーズに触れてきたファンでも、既存の聖杯戦争とは違う『盈月の儀』を体験できます。『Fateシリーズ』を知っているからこそニヤリとできる場面や、知っているからこそ感じる違和感があり、『あぁ、ハイハイ知ってる知ってる』という退屈さは感じません。他の作品で知っているはずのキャラクターたちが違う側面を見せるなど、同名キャラクターでも作品ごとに立場がまったく違う『Fateシリーズ』らしさが詰まっています。

ストーリー

本作のストーリーについて、株式会社コーエーテクモホールディングス代表取締役社長の『シブサワ・コウ⁴』は、『奈須きのこ』との対談で『今までのシリーズに触れてきたファンの方にも自信をもってお届けできる。ストーリー展開が「予定調和」ではなく「予定不調和」だからこそ面白い非常に奥深く、予想がつかない物語の魅力が味わえるはずですよ』とコメントしています。

⁴……『Fate』シリーズのファンで、本作のテストプレイも200時間近く行ったらしい。

作中の雰囲気は、基本的にシリアスで暗すぎず明るすぎずといった塩梅です。ギャグ要素はあれど『いつストーリーが動くか』というヒリついた空気が付き纏い、人の生き様や死に様を丁寧に描くため、ただただ圧倒されます。

キャラクターの造形も深く、『他人の命を奪ってでも、自分の全てを出し尽くしても願いを叶えたい』という、一種の狂気的な想いを抱くに至ったバックグラウンドがしっかり描かれます(主人公陣営以外も、サブストーリーや幕間といった形で物語が読めます)。

ゲームシステム

開発がコーエーテクモゲームスのω-Forceのため、無双シリーズ⁵と同じ訳ではないが、そのノウハウが存分に活かされています。

⁵……複数の敵と戦う三人称視点の3Dアクションゲーム。群がる敵軍を単身でなぎ倒していく爽快感が特徴。

「サーヴァントの視点ではなくマスター⁶の視点で聖杯戦争を体験していく」というテーマがあり、『奈須きのこ』いわく『無双シリーズ』作品とは明らかに別物。

⁶……サーヴァントは神話や伝承、歴史に登場する偉人を使い魔として召喚した存在。ピンキリではあるが戦闘機1機分の強さを持ち、まず人間では太刀打ちできない。マスター(宮本伊織がマスターの1人)はその使役者だが、強さの差は大きく、サーヴァントからすれば人間に毛が生えた程度。

メインストーリーで基本的に操作する主人公『宮本伊織』は『宮本武蔵の弟子で二天一流の凄腕剣士』ですが、サーヴァントとは大きな力の差があります。そのため人間相手なら爽快感ある戦いができますが、サーヴァント戦では下手するとワンパンでやれるなど、バトルパートはメリハリが効いています。

ただ「皆が遊べるアクションRPGを目指す」という方向性があり、4段階ある難易度設定以外の部分として、「操作をいかにシンプルに分かりやすく作るか」、戦闘アクションゲームにおいて攻略の基本となる「位置取り」「距離感」「敵の隙」を視覚的に分かりやすく作るという点に注力しています。

『基本コマンドにガードがない(回避や敵が攻撃する前に強力な技で潰す)』『サーヴァントと上手く連携する』など、ある程度の慣れは必要ですが、アイテムを戦闘中に使用するときはゲーム内の時間が止まるなど、事前準備としてアイテムを買い込んで強敵に挑めばアクションゲームが苦手な方でも攻略可能です。プロジェクトメンバーの中にアクションゲームが苦手という人は何人もいて、そういう人にプレイしてもらいながら難易度を調整したそうです。

操作できるキャラクターは『宮本伊織』を含めて12人(今後のDLCで増える可能性有)。ただ『宮本伊織』以外は、特定のシナリオや一定時間だけ操作可能など、制限は付きます。2023年12月のアップデートで、回想戦においては他キャラクターの操作が可能になりました。

バトルパートだけでなく、江戸の街を探索したり、ミニゲームで遊ぶことが可能です。移動範囲はストーリーの進行に沿って広がっていき、道に迷っても、ボタン1つで次の目的地への道を示す「導き」がフィールドに表示されます。

ストーリーには分岐があり、一周目で解消されなかった謎や疑問が二周目で明かされるなど、ゲームボリュームは多いです。本作のディレクター『松下竜太』は、ストーリーを追うだけで50時間以上、寄り道ややり込みなら100時間は超えると考えてます。

ほぼフルボイスと言えるほど声付きのセリフが多く、アイテムを購入する時に、同じアイテムでもボイス付きのリアクションが複数あります。

登場人物

宮本伊織

本作の主人公。宮本武蔵の弟子であり、養子。一人称は「俺」。年齢は20代前半。

基本的に冷静な性格が順応性が高く、常に相手のことを考えて行動しています。

師匠が亡くなった後も泰平の世ながら剣の腕を磨いており、浪人や忍者程度なら一蹴し、相手が遥か格上のサーヴァントだろうと斬りかかる胆力の持ち主です。

江戸に住む住民が『盈月の儀』に巻き込まれるのを良しとせず、『江戸の民草の多くが死ぬだろう。悪しき事、許されぬ事だ』と言い、儀式に参加しました。

泰平の世とはいえ、浪人が溢れている江戸で他人のことを考えて行動する姿から、自身が召喚したサーヴァント『セイバー』からは『得難い優しさ』と評されています(自分の命を獲りに来た相手は斬り捨てるため、甘くはない)。故人である宮本武蔵からは『生まれる時代を間違えた』と言われていました。

浪人のため収入が不安定で、作中では『素寒貧の貧乏侍』と言われることも。

史実では浪人ではなく、仕官の道を選んでおり、本作の舞台となる慶安4年なら39歳。

セイバー

もう1人の主人公。宮本伊織が召喚したサーヴァント。一人称は私(わたし)。

中世的な容姿をしており、男扱いも女扱いも否定しないため、性別は不明

見た目の年齢はかなり若く、少年少女といっても違和感がないほど。

好奇心旺盛な性格で、未知の風景や食事に興味津々といった感じで動き回ります。

白米好きの健啖家で伊織の財布にダメージを与えており、『仕事の邪魔をすると飯が食えなくなるぞ』という脅しに真剣な面持ちで頷いていました。

基本的に善良だが、戦闘の影響で周辺に被害が出ても「それはそれとして」と割り切るタイプで、「可愛い顔なのに本性は随分物騒だ」と伊織以外のマスターからも突っ込まれています。

戦闘時は銅剣を使い、相手と切り結ぶことを考えない圧倒的な戦い方が特徴。

その正体は不明だが、『貨幣や紙に縁遠い』ことから、平安武者ではないかと伊織は考えています。