『 メイドインアビス』をおすすめしたい!
イントロダクション
「はやく白笛になって、それで…お母さんに追いつきたいんです」
全てを踏み明かされたこの世界の唯一最後の深淵である大穴『アビス』。
大穴の底を見た者はまだ誰もいません。
貴重かつ危険な原生生物たち、理を超えた不可思議な遺物、奈落の果てに眠るという黄金郷、それらすべてが1900年もの昔から今に至るまで人々を誘い駆り立ててきました。
未知へのロマンと数多の伝説に魅了され、命がけで大穴に挑戦する人々は、次第に『探窟家』と呼ばれるようになります。
『アビス』の縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児の女の子『リコ』は、いつか母のような偉大な探窟家になり、『アビス』の謎を解き明かすことを夢見ていました。
しかし、『赤笛(探窟家見習い)』であるリコは、危険が少ない(命の危険はある)深さ『深界一層』までしか潜ることを許されません。
最高位の探窟家に与えられる称号『白笛』を持つ母親と同じように大発見がしたい。その気持ちだけが強くなっていきます。
そんなある日、孤児院の仲間たちと『深界一層』で探窟中に、原生生物に襲われたリコは謎の存在に命を救われました。
それは人間の少年そっくりなロボットで、全ての記憶を失っていました。
リコはロボットに『レグ』と名付け、孤児院の大人達の眼を欺きながら、共に過ごします。
それから数か月が経った頃、リコの母『ライザ』の『白笛』と封書が地上に上がってきました。
封書には、誰も見たことがない『アビス』の情報、レグと似た姿を持つロボットのような絵、『奈落の底で待つ』と書かれた紙が同封されていました。
その紙が母からの手紙だと思ったリコは、レグとともに孤児院を脱走して、行ったら二度と戻れない『アビス』の底に出発します。
誰であろうと容赦ない洗礼が襲い掛かるハードでリアルなダークファンタジー『メイドインアビス』をおすすめしようと記事にしました。
『つくしあきひと(以下敬略称)』による漫画作品。ジャンルは『ダークファンタジーアドベンチャー』。
竹書房のウェブコミック配信サイト『WEBコミックガンマ』にて2012年より、年間数回程度の不定期連載中です。
コミックスは『竹書房〈バンブーコミックス〉』で、概ね年に1巻ずつ発売されています。既刊11巻。
シリーズ累計発行部数は2020年2月時点で333万部を突破しています。
メディアミックスとして、アニメ、ゲーム化が行われました。
アニメ化は『盾の勇者の成り上がり』や『ブラック・ブレット』を手掛けた『株式会社キネマシトラス』で制作され、第1期(原作1~4巻・前半)が2017年7月、第2期(6~10巻)が2022年7月から放送されました。
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劇場アニメも制作されており、第1期を再編集し新規カットが追加された『劇場版総集編【前編】メイドインアビス 旅立ちの夜明け』『劇場版総集編【後編】メイドインアビス 放浪する黄昏』が2019年に公開されています。
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また完全新作劇場版として、『劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明(単行本4巻・後半~5巻)」』が2020年に『R15+』指定で公開されました。
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2022年9月1日にPS4・Nintendo Switch・Steam専用ソフトとして『メイドインアビス 闇を目指した連星』が発売中です。原作を追体験する『HELLO ABYSS』、本作オリジナルキャラクターとなる新米探窟家を操作するオリジナルストーリー『DEEP IN ABYSS』の2種類のゲームモードがあります。
本作の魅力について、
アニメ版・副監督の『垪和等』は『想像してみてくだい。アフリカの猛獣のいるサバンナを子供たちだけで旅をするとすれば、どんな試練が待ち受けるのでしょう。それがアビスという不可思議な穴の中ならなおのこと。そんな過酷な旅の中で二人(?)はどう乗り越えて行くのか。そしてどんな絶景が待っているのか。乞うご期待』
とコメントしています。
あらすじ(序盤のネタバレあり)
アビスの中で『リコ』に拾われて、『レグ』と名付けられた少年は、記憶を失っていました。
わかっているのは、腕が40m以上伸び、『火葬砲(インシネレーター)』と呼ばれる兵器を搭載しているロボットであること、そしてアビスの深淵からやってきた可能性だけです。
ロボットであることを隠して、リコたちと一緒に孤児院で過ごすレグでしたが、記憶は戻りません。
手がかりはリコの母『ライザ』が地上に送ったレグと似た姿を持つロボットのような絵だけです。
自分がロボットなら、一体なんのために作られたのか。
深淵から何故やってきたのか、そこには何があるのか。
(知りたい、僕は一体なにものなのだ!)
孤児院の生活は楽しいものでしたが、自分が何者なのか知りたいレグは、アビスの深淵を目指すリコと一緒に旅立ちます。
頑丈な身体と兵器を使い、ヒトにはマネできない方法で障害はあってもアビスの底に辿り着けるとレグは思っていました。しかし、それが如何に甘い認識だったか身を持って知ります。
探窟家が観測できているアビスの底までは2万メートル以上の距離があり、特異な生態系を持つ危険な原生生物、人の理では測れない自然現象が容赦なく2人に襲い掛かりました。
作風・感想
本作は入ったら二度と戻れない『アビスの深淵』を目指して冒険するダークアドベンチャー作品です。
可愛らしい絵柄に反して、内容はかなりハードであり、肉体的にも精神的にも痛いと感じるゴア表現があります。そのため映画作品は最高で『R15+』、ゲーム作品は『CERO・Z(18才以上)』の指定を受けています。
メイドインアビスという世界観
世界観の作り込みが丁寧で、『アビス』の情景、生き物の生態、遺物、謎の奈落文字など、冒険の舞台である『アビス』の神秘的な雰囲気が手に取るように伝わります。同時にファンタジー世界における自然の厳しさ、容赦のなさが恐ろしいと感じます。
登場人物たちは3~4頭身とファンタジー的ですが、『本当にこんな世界があるのではないか』というリアルさで作中世界が描かれており、作者の思惑をまったく感じさせない自然さが魅力です。
主人公たちが知っているアビスの情報も、長い時間をかけて探窟家たちが調べたのだと伝わる積み重ねの重さがあり、些細な情報でもしっかり残されているのが歴史を感じさせます。
常軌を逸したアビス内のルール『上昇負荷(一度降りたら、上昇する時に呪いを受ける)』、超常的な力をもつ遺物(いわゆるマジックアイテム)、対策が必須な原生生物(いわゆるモンスター)など、あらゆる苦難が主人公たちに襲い掛かり、しかも主人公だから大丈夫だと一切思えない緊迫した空気感が魅力です。
これらは自然の猛威といった形で登場人物たちに等しく降りかかり、嵐が過ぎ去った後に何も残っていないようなスピード感と呆気なさに度肝を抜かれます。
リアルさを保ちながらも話のスケールがデカく、天変地異のような恐ろしい現象が立て続けに起こりながらも、世界観がまったく崩れません。
物語が進めば進むほど謎は解き明かされますが、新たな謎も増えていき、それでもゴールに近づいている感覚が物語の結末を予想させません。
登場人物たちは隣人で狂人
登場人物たちはアビスの深淵を目指す冒険家『探窟家』であり、夢に向かって進む姿が眩しいです。また嬉しかったら跳ねて喜んだり、足をぶつけて痛かったり、腕が折れたら失禁したり、と反応がとても生々しく、喜怒哀楽が読み手に痛いほど伝わってきます。
ファンタジー世界の住人でありながら、現実に居てもおかしくない反応を示す人間らしさがあり、その人間らしい感情がアビスの理不尽に晒されて変化していくのが恐ろしいです。
また登場人物たちは『アビスの深淵を目指す』ことが目的であり、根っからの悪人らしい悪人は登場しません。その代わり、アビスの深淵に向かうためなら何でもやるといった純粋さが『悪意以上のおぞましさ』を生んでいます。
入ったら二度と戻れない命懸けの冒険を楽しんでいる登場人物たちは、人間らしさがありながらも、どこか異常です。そんな一癖も二癖もあるキャラクターたちの底知れなさに圧倒されます。
登場人物
リコ
12歳の少女。『殲滅卿』・『殲滅のライザ』の2つ名を持つ母『ライザ』がいます。
金髪のおさげでメガネを掛けており、一人称は「私」。
好奇心旺盛で活発な性格。感情の起伏が激しく、よく泣きよく笑います。
無駄に行動力があり、言葉がまったく通じない環境に放り込まれても積極的にコミュニケーションを取ろうとします。
身体能力は12歳相応で、戦闘力はありませんが、アビスの知識は非常に豊富です。その知識は冒険に必須で、無謀とも言える行動力がピンチを打開することも多いです。
また探窟家としての決意が固まっており、危険が待ち構えていても向かわずにはいられない欲求と、死に瀕しても『もう一度冒険を!』と願える強靭なメンタルを持っています。
他者からの評価は『肝は据わってるけどやりたい事に身体がついて行ってない』。
料理が得意で、どれだけグロテスクな原生生物でも、食べられる味に仕上げます。
その出生には謎が多く、アビスの深淵を目指す理由も一部の登場人物からは疑問視されています。
レグ
少年型ロボット。名前の由来は、リコが昔飼っていた犬『レグ』。口癖は「度し難い」。
褐色の短髪に金色の瞳、肌はやや浅黒く、赤褐色の四角い模様が身体にあります。
性格は基本的に真面目。口調は大人びていますが、純粋無垢かつ素直です。
四肢は機械的ですが、飲食を行い、見た目はヒトとさほど違いがありません。
ロボットらしく身体能力が高く、外傷に対しては強い一方で、内臓に相当する臓器があるためか口やへそから内部に向かって攻撃されると弱いです。
フィジカルに反してメンタルが弱く、お化けが苦手で、人食いの原生生物を料理して食べることに抵抗感があるなど人間らしい反応が多いです。
他者からの評価は『身体は打たれ強いが、しょっちょうビビるし判断が遅い』。
サバイバル精神旺盛な登場人物が多い中では、読者寄りの価値観を持つため、作者いわく『読者の感情移入先』。
存在そのものが謎であり、物語の進行とともに秘密が明かされていきます。
まとめ
猛獣たちの住む檻に入る、もしくは台風に向かって飛び込むような、危険と隣り合わせの冒険がとてもリアルに残酷に描かれています。
気になった方は是非一読してみてください。
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