『ゆるキャン△』をおすすめしたい!
目次
イントロダクション
『貸し切り状態、シーズンオフ最高』
これは、ある冬の日の物語。
オフシーズンの1人キャンプが好きな女子高生『志摩リン(しまりん)』は、富士山の麓のキャンプ場にやってきて手際よくテントの設営や焚火の準備を進めていきます。
その途中、居眠りしている女の子を発見しましたが『あれは確実にカゼ引くな』と思いながらもスルーしました。
あいにく天気はくもり空で、富士山を見ることはできませんでしたが、冬の寒さを焚火で凌ぎ、スープで身体を温めながらゆっくり1人キャンプを漫喫します。
そして日が落ち、ランタンがなければ夜闇で何も見えなくなった頃、スープを飲み過ぎたリンがトイレに向かうと、昼間眠りこけていた女の子の姿が見えません。
『さすがに帰ったか』とリンが思ったところで、ランタンの光に照らされる形で恐怖の形相を浮かべた女の子が闇夜から急に現れました。
驚いて逃げるリン、泣きながら追いかける女の子。
その女の子『各務原なでしこ(かがみはらなでしこ)』は、今日静岡から山梨に引っ越してきたばかりにも関わらず、自転車で富士山を見に来たそうです。しかし富士山は雲のせいで見えず、さらに疲れて眠ってしまい、気づけば夜で周囲には誰もおらず、帰り道もわからない状態で途方に暮れていました。
見捨てるわけにもいかず、なでしこを連れてテントまで戻って来たリンは、スマホを忘れ(なぜかトランプはあった)、腹を空かせたなでしこの面倒を見ながら『誰かとキャンプをするってこんな感じなのかな』と思います。
だんだんと元気過ぎるほど元気を取り戻したなでしこが『富士山が見えなかった』とぼやくのを聞いて、りんは遠くを指差しました。
そこには雲が晴れてよく見えるようになった富士山が、月明かりに照らされています。
それからリンのスマホを借りて、家族と連絡をつけたなでしこは迎えに来た姉に説教を受けながら車で帰っていきました。
車を見送ったリンの手には、お詫びに貰った『キウイ』となでしこの電話番号が残されています。
『まぁ、登録だけしといてやるか』
リンとなでしこ、2人の出会いから始まるアウトドア系ガールズストーリー『ゆるキャン△』をおすすめしようと記事にしました。
『あfろ(以下敬略称)』による漫画作品。ジャンルは『キャンプ、旅行』。
マンガタイトルの末尾にある『△』は、テントのピクトグラムです。
『まんがタイムきららフォワード(芳文社)→COMIC FUZ』にて2015年から連載がスタートしました。
コミックスは『芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉』から既刊13巻まで発売中です(2022年7月現在)。番外編にあたる『へやキャン△』も収録されています。
原作コミックス累計発行部数は700万部を突破しました。
アニメ化も行われており、『シーステイション株式会社』にて第1期(原作1~4巻まで)が2018年、第2期(原作5~9巻まで)が2021年に放送されています。
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『東京アニメアワードフェスティバル2019』で行われた『アニメ オブ ザ イヤー部門「みんなが選ぶベスト 100 テレビ部門」』で524作品中第4位を受賞しました。
また、まちの観光を活性化させた作品と地域に贈る『第12回ロケーションジャパン大賞』より作中に登場する各地域がノミネートされています。
2022年7月1日には、劇場アニメ『映画 ゆるキャン△』が公開されました。
劇場アニメは『あfろ』監修のオリジナルストーリーであり、主要人物たちが社会人になった後を描いています。
テレビドラマ化も行われており、シーズン1が2020年、シーズン2が2021年に各12話・30分で『木ドラ25』枠にて放送されました。
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『第104回と第108回のザテレビジョンドラマアカデミー賞』にシーズン1と2がそれぞれノミネートされています。
始まる前は人気作の実写化という事もあり批判的な意見も多かったですが、アニメの完コピという大胆な策に打って出たことで評価は反転し絶賛の声が多数あがっている、とドラマ評論家『成馬零一』は語っています。
本作の魅力について、
アニメシリーズ監督の『京極義昭』は『原作を読んでキャンプをしたくなったし、なでしこたちが食べているキャンプ飯を食べたくなりました。登場キャラクターはとてもナチュラルで作られた感じがしない。とくになでしことリンの関係性が象徴しているように、近すぎず遠すぎずの適度な距離感がとても自然でリアルに感じられました』
とコメントしました。
あらすじ(序盤のネタバレあり)
静岡から山梨に引っ越してきた女子高校生『各務原なでしこ』は、富士山の麓で行き倒れていたところを『志摩リン』に助けられたのをきっかけにアウトドアに興味を持ちました。
なでしこは本栖高校の同好会である『野外活動サークル、通称:野クル』の部室にやってきましたが、部員は『犬山あおい(いぬやまあおい)』『大垣千明(おおがきちあき)』の2人しかおらず、部屋は元々用具入れでうなぎの寝床のように狭かったです。
しかも普段は落ち葉焚きやアウトドア雑誌を読むぐらいの活動しかしておらず、ガッカリするなでしこでしたが、せっかくの新入部員を逃がすまいとカップラーメンに釣られて元気を取り戻します。
それから『野クル』らしく学校の中庭でテント(980円)を実際に建ててみることになりましたが、テントを支える骨組みであるポールがへし折れました。
大騒ぎする3人を窓越しに眺める影が1つ、実は同じ高校に通っていたリンです。友達である『斉藤恵那(さいとうえな)』に『助けてあげれば?』と言われますが、リンはすごく嫌そうなで顔で返します。
それから関わると面倒そうなので動かないリンから、ポールの応急処置方法を聞いた恵那が3人を助けました。
その様子を遠目に見ながら、見つからないように気をつけようと内心思うリンでしたが、恵那はリンを指差して『あそこの子に(修理方法を)聞いたのよ』とばらします。
なでしこはリンが同じ学校であることを喜びながら野クルに勧誘しましたが、1人キャンプの時間を脅かされるのが嫌だったリンは、つい嫌そうな顔をしてしまいました。
後日、1人キャンプをしながら『ちょっと悪い事したな』と物思いに耽るリンの前に、恵那に居場所を教えられたなでしこが2人分の鍋の食材を持って現れます。
作風・感想
本作はキャンプ場におけるリクリエーション、野外調理などといったアウトドア趣味を等身大の女子高生たちが、身の丈にあった範囲で満喫する作品です。
日常作品であり、旅行マンガ
ゆるやかな雰囲気で日常を描く『日常系』の作品ですが、作者のアウトドア経験や元々のツーリング趣味が活かされており、執筆に当たっては山梨・長野・静岡を中心とした実在の観光地へ2~3回の取材を行い、その風景をそのまま描いているので『萌え要素がありながらも、現実感のある雰囲気が特徴な旅行漫画』です。
ギャグは会話の合間に挟まる程度で、作中では静かでほとんど人がいない冬のキャンプの良さがこれでもかと描かれており、読者のアウトドアに対する興味を刺激してくれます。
見開きのページで精密に描かれるキャンプ場や観光名所から見える広大な景色、実在するキャンプ道具の描写、火起こしやテントの設営、野外調理といったアウトドアの知識をキャラクターたちが見聞きし、実際にやってみて、また味わうのが本作の持ち味です。
食事シーンにもこだわりがあり、旅行先のご当地グルメや野外で作る様々なキャンプ飯に舌鼓を打つキャラクターたちの表情が食欲を誘います。
臨場感のある旅事情
交通渋滞、キャンプ道具を忘れる、寝過ごすといった旅先のトラブル、ゆるやかな旅だからこそ目についたものに興味を持ち、予定を急に変更するなど、実際にあり得る出来事が自然に描写されており、一緒に旅をしているような臨場感が凄いです。
ストーリーは長編が多く『キャンプに行く計画を建てるところから始まり、道具や食材の用意、旅先の観光名所を調べるなど準備をし、車や電車、スクーターで旅先へ向かい、現地を漫喫しながらテントで1泊して朝を迎える』の繰り返しですが、どれ1つとして似たような景色がない旅先の描写に始まり、キャンプの間にキャラクターたちが新しい道具を買うためにバイトをしたり、次のキャンプで新しくやりたいことを考えて実行に移すなど、読者を飽きさせない工夫が盛り込まれています。
ベタベタしない距離感
キャラクターたちの距離感も特徴であり、よくある『ひとりぼっちでキャンプしているリンがなでしこと出会い、メンバーが集まって最後にみんなでキャンプしてゴール』ではなく、リンにはリンのキャンプの楽しみ方があり、それを誰も否定せずまたリンも押し付けたりしません。
ただ出会うことで変化は起きており、リンに影響されてそれぞれ1人でキャンプをすることもあれば、リンがグループに混ざってキャンプをすることもあります。1人でキャンプや旅など、単独で行動するキャラクターたちの時間が描写されますが、メッセージや写真を送り合って喜びや感動などを共有しており、近くにはいませんがゆるやかに繋がっている雰囲気が魅力です。
登場人物
志摩リン
アウトドア好きの祖父からキャンプ道具を貰い、中学一年生の時になんとなく始めたのをきっかけに、オフシーズンに1人でキャンプをするようになりました。
クールな性格ですがコミュニケーションは苦手ではなく、物静かなだけです。
大食いではないですが、旅先で遭遇するグルメに心奪われて手を出すことが多く、お腹周りを気にしています。
作中序盤で原付免許を取得し、原付スクーターで旅をします。
犬好き。
各務原なでしこ
リンに助けられ、夜に見た美しい富士山が忘れられず野クルに入部しました。
感情豊かで元気いっぱいな女の子であり、人当たりの良い性格と287段の階段を駆け上がる体力から犬に例えられることが多いです。
かなりの健啖家かつ早食いで、気づけば食事を終えており、周囲の人間を驚かせます。
誰とでも仲良くなれるタイプらしく、旅先で出会った人々ともすぐ打ち解けていました
『鍋しこ』とあだ名をつけられるほど鍋料理が得意です。野外調理も色々と試しており、クックレシピに上げています。
暗闇や怪談が苦手。
大垣千明
野クルの部長。
事あるごとにオーバーリアクションで反応するムードメーカーです。
行動力はあるが、思いつきで色々やらかすタイプであり、失敗することもありますがへこたれません。
少ない予算をやり繰りするために悪戦苦闘するシーンが多く、高額なキャンプ道具を買おうとして鼻血を出したことがあります。
犬山あおい
野クルの創設メンバー。
妹がいるからか、お姉さんらしい落ち着いた性格でさり気なくフォローを入れるまとめ役です。
茶目っ気があり、ホラ話を事あるごとに垂れ流しますが、表情に出るタイプなので付き合いが長い千明には見抜かれています。
のんびりとした関西弁風の口調が特徴であり、高校生離れしたスタイルの持ち主です。
斉藤恵那
面倒見が良い性格で、リンがなでしこを始めとする野クルのメンバーと付き合うきっかけを作りました。
髪をいじって奇抜な髪型にすることが多く、長髪のリンはよく被害に遭っています。
ネットスラングを嗜み、千明に合わせて冗談を言うなどノリが良いです。
『ちくわ』と名付けたチワワを飼っており、溺愛しています。
休日は夜更かしして爆睡。
まとめ
実際に旅に出て、観光名所を巡ったり、キャンプに行きたくなる雰囲気。キャラクター同士の近過ぎず遠すぎずな距離感が『いいな』と感じさせてくれます。
気になった方は是非一読してみてください。
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